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覇道を捨てて
第四章
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「一人なのだ」
「貴方もですか」
「というと?」
「私は。婚約者がいたのですが」
 女王様もです。こう言うのでした。
「その婚約者が事故で死んでしまって」
「では今は」
「はい、一人です」
 彼女もだというのです。
「お互いにそうなのですね」
「そうだな。奇遇だな」
「一人というのは。寂しいものですね」
 実際にその気持ちを顔に出してです。女王様は言いました。
「とても」
「全くだ。相手がいればいいのだが」
「ではです」
 二人の話を聞いてです。詩人がです。
 その二人に穏やかな笑顔でこう提案したのでした。
「お二人で結婚されたらどうでしょうか」
「わし等でか」
「そうしろというのですか」
「はい。お互いに一人身ならばです」
 それならばだというのです。
「お二人で一緒になられればどうでしょうか」
「王と女王で」
「そうせよと」
「それならお二人は伴侶を得られます」
 このことを笑顔で言うのでした。
「しかもです。お二人が結婚されればです」
「そうだな。国が一つになる」
「そうして」
「お二人がそれぞれ望まれていたものが手に入ります」
 金や銀に宝石、森や水に果物がだというのです。
「戦なぞせずにです」
「つまりいいこと尽くめか」
「そうなるのですね」
「そうです。それでどうでしょうか」
 詩人は二人に笑顔で提案します。
「お二人が結婚されて。それで望むものを手に入られては」
「そうだな。それにだ」
「私達が手に入れるものはそうしたものだけではありませんね」
 二人は明るい笑顔になって詩人に答えます。
「愛も。それも」
「手に入れるのですね」
「その通りです。私は申し上げましたね」
 このうえない幸せな顔で。詩人は二人に述べました。
「戦なぞせずとも愛があれば」
「幸せは手に入る」
「その望むものも」
「そうです。戦なぞは行っても得られるものは限られています」
 詩人は戦についてはこう切って捨てます。
「ですが愛はです」
「何も損なうことなく戦で手に入れるもの以上のものを手に入れることができる」
「そうだというのですね」
「その通りです。では皆さん」
 詩人はエルフとドワーフのお酒を混ぜたそのお酒が入った杯を手にです。そのエルフとドワーフ達に対して高らかに言うのでした。
「お互いに愛し合いです」
「そして幸せになり望みのものを得る」
「そうすれがいいのですね」
「結ばれ子供をもうけましょう」
 詩人はこのことも言います。
「そのうえで望むものを手に入れましょう」
「では緑も宝石も」
「幸せに」
「そうです。
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