第十三話 覚悟
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ないんです。」
でも、と紀伊は言葉をつづけた。
「でも、赤城さんの話を聞いて私はとても恥ずかしくなりました。私の不安なんて赤城さんの物に比べたら、とても小さいものです。今話してくださったとても大きな不安を抱えていらっしゃるのに凛としていらっしゃる赤城さんを私はとても尊敬します。そして、少しでも役に立ちたい、そう思うんです。私でよろしければ――。」
「待ちなさい。」
乾いた声がした。二人が振り向くと、加賀がこちらを見ていた。紀伊はびっくりして赤城から離れた。いつのまに来ていたのだろう。そして、どこから話が聞かれていたのだろう。
「あなた、赤城さんの護衛艦になるというの?」
「加賀さん、いつのまに?!違います。これは――。」
「赤城さんは黙っていて。」
低いが有無を言わせぬ声で加賀は制した。
「申し訳ないけれど、今までの話は全て聞かせてもらいました。私は・・・・。」
加賀は一瞬目をそむけた。
「とても恥ずかしく思います。僚艦でありながら赤城さんの不安を私はそれほど大きくとらえていなかった。何故なら赤城さんはとても強いから。その強さの前に克服できない物などない。そう思っていました。」
「加賀さん・・・・。」
「でも、私は間違っていました。いくら技量が抜群でも、いくら強くても心の不安の前にはあまりにも無力。そのことをあなたは気づかせてくれた。」
加賀は紀伊を見た。
「でも、そのことと赤城さんの護衛艦になるかどうかは別問題。私が試します。あなたが赤城さんを護るに足る人かどうかを。」
紀伊は内心仰天した。赤城は話し相手が欲しいといったのであって、護衛艦を望んでなどいなかったのだ。そういおうとして、紀伊はふとある考えを持った。
(でも・・・・本当にそうなの?言葉だけの話し相手など赤城さんが望んでいることなの?言葉だけで赤城さんの不安を取り除くことができると考えられるの?)
紀伊は内心首を振っていた。
(いいえ違う。赤城さんの不安を取り除くには、私の姿を知ってもらうほかない。赤城さんが求めているものがまだ何かわからないけれど・・・一つ候補として言えるのは強さ。強ければ強いほど赤城さんを安心させることができるのではないかしら?それに・・・・。)
紀伊はぎゅっとこぶしを握りしめた。
(あの時以来自分から加賀さんに話しかけることができていない。これは一つのチャンスなのかもしれない。赤城さんと双璧の強さを持つ加賀さんに挑むなんて怖いし、まして認めてもらうなんて無理かもしれない。でも、それでもやらずに後悔するよりは、精一杯やって後悔したほうがまだましよ!。)
「加賀さん。いきなりすぎます。紀伊さんだって困ります。」
赤城がそう言ったが、紀伊はきっと加賀を見返した。
「わかりました。加賀さんのおっしゃることはもっともです。弱い艦娘は赤城さ
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