3.報復
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はな」ケネスは一つ小さなため息をついた。「アヤカがやっとることは犯罪まがいのことや、っちゅうことをわいが本人に言うて聞かしたる。あいつも人間なら、自分の行為を反省して、考え方を変えなあかん、思うはずや」
「ケニー……」
「1パーセントの希望がアヤカを救うかもしれへん」
ケネスがいぶかしげにケンジとマユミを見た。「……って」
「なんだよ」ケンジが言った。
「おまえら、ええかげん離れんかい。もう十分やろ? いつまで抱き合うとるんや、まったく……」
ケンジは赤くなってマユミを腕から解放した。マユミも同じように赤面して、小さく頭を掻いた。
「そうだ!」ケンジが大きな声を出した。
マユミは驚いて兄の顔を見た。「なに? どうしたの? ケン兄」
「マユ、おまえのケータイの履歴、」
「履歴?」
「そう。俺が送ったメールとかの」
「いっぱいあるよ、ケン兄のメール履歴」マユミは自分のケータイをバッグから取り出した。
「あのさ、俺たちのメールのやりとりの履歴、いちいち消去した方がいいと思うんだ」
ケネスが横目でケンジを見た。「まさか、ケンジ、誰かに見られたんか?」
「危ないところだったんだ」
「アヤカか?」
ケンジは頷いた。「今日の夕方、俺になりすましてマユにメールを送ったのはあいつだけど、その時はアドレス一覧しか見られなかった」
「そうなの……。ほんとに危なかったね」マユミは自分のケータイのディスプレイを見つめた。
「だからさ、そういう履歴はお互い消しといた方がいいと思って」
「確かに用心した方がええな」ケネスはコーヒーをすすった。
「わかった。ケン兄。ちょっと惜しいけど消すね」マユミはケンジからのメールの履歴を消去し始めた。
ケンジも同じようにその作業に取りかかった。
「おまえら、メールで『愛してる』とか『キスしたい』とか言い合うとったんか?」ケネスがにやにやしながら訊いた。
ケンジは顔を上げ、眉尻を下げた。「うん……」
ケネスは口の中のコーヒーを噴きそうになり、慌ててごくりと飲み込んだ後大声を出した。「ほ、ほんまかいな! まーようそないな赤面モノの台詞、恥ずかしげもなく言えるもんやな」
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