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Bitter Chocolate Time
3.報復
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身を露わにしたケンジはうつむいていた。マユミは胸のアザにそっと触れた。「ひどい……。ケン兄、ごめんね、ごめんね……」
「な、なんでマユが謝るんだよ。お、俺の方がお前に謝らなきゃいけないのに……」
「ケン兄左腕を痛めてまで、あたしのことを想ってくれていたんだね」
「で、でも、マユ、」

 マユミは涙を拭って顔を上げた。ケンジは元通りシャツを身につけた。

「お、俺、アヤカとセ、セックスしてしまった。お前を抱く権利は、俺にはもう……」

 マユミはいきなりケンジの身体を強く抱きしめた。「くっ!」ケンジは胸と腕に走った痛みをこらえて、マユミの身体を抱き返した。
 ケンジの胸に顔を埋めたまま、マユミは言った。「なんでそんなこと言うかな! いやだ! ケン兄に抱いてもらえないなんて、あたし絶対いやだ! いやだからね!」
「マユ……」
「そんなこと、あたし全然気にしないよ。心まで持って行かれたわけじゃないってわかってる、ちゃんと」
 マユミの髪を撫でながらケンジは言った。「ごめん。ごめんな、マユ。もう言わない」
「あたしのことも、信じてよ。ケン兄電話で『信じろ』って言ったじゃん」
「……わかった。信じる。信じるよマユ……」
 マユミはそのまま小さく呟いた。「……許せない……」


「二人とも聞いてくれへんか」ケネスが切り出した。「あいつの行動はだいたい想像がつく。わいに考えがあるんや」

 ケンジとマユミは抱き合ったままケネスの計画に耳を傾けた。

「おそらく、明日の大会で、アヤカはケンジにまたモーションをかけてくる。写真とビデオをネタにお前をゆするはずや」
「でも、ケニー、お前がデータは全部消してしまったんだろ? それでも俺に言い寄るかな」
「安眠チョコの威力を甘く見たらあかんで。約12時間は目が覚めへん。起きたら大会に遅刻する時刻のはずや。データを確認する暇なんてあれへん」

 ケンジは少し青ざめて身を固くした。「そ、それはもはやチョコではなく、薬物の範疇……」 

「アヤカに言い寄られたらな、ケンジは何食わぬ顔で対応し。よし、練習や」

 ケネスはケンジの手を取った。「『海棠くん、また私を抱いてくれるでしょ?』」
「断る」
「『そんなこと言えるのかな? あの写真、みんなにばらまいてもいいの?』」
「ばらまけるもんならばらまら……ばら……まいてみろよ」
「舌、もつれてるで」
「『ばらまいてみろよ』」
「よし、その調子や」

「ケニー、お前はどう振る舞う?」
「もしアヤカがわいのことを疑うてなければ、わいにもモーションかけてくる可能性もあるな」
「そうだな……。微妙な所だな」
「で、どうするの? ケニーくん」
「もし、アヤカがわいに言い寄ってきたら、わいが本当のこと言うたるわ。最終的に
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