3.報復
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
身を露わにしたケンジはうつむいていた。マユミは胸のアザにそっと触れた。「ひどい……。ケン兄、ごめんね、ごめんね……」
「な、なんでマユが謝るんだよ。お、俺の方がお前に謝らなきゃいけないのに……」
「ケン兄左腕を痛めてまで、あたしのことを想ってくれていたんだね」
「で、でも、マユ、」
マユミは涙を拭って顔を上げた。ケンジは元通りシャツを身につけた。
「お、俺、アヤカとセ、セックスしてしまった。お前を抱く権利は、俺にはもう……」
マユミはいきなりケンジの身体を強く抱きしめた。「くっ!」ケンジは胸と腕に走った痛みをこらえて、マユミの身体を抱き返した。
ケンジの胸に顔を埋めたまま、マユミは言った。「なんでそんなこと言うかな! いやだ! ケン兄に抱いてもらえないなんて、あたし絶対いやだ! いやだからね!」
「マユ……」
「そんなこと、あたし全然気にしないよ。心まで持って行かれたわけじゃないってわかってる、ちゃんと」
マユミの髪を撫でながらケンジは言った。「ごめん。ごめんな、マユ。もう言わない」
「あたしのことも、信じてよ。ケン兄電話で『信じろ』って言ったじゃん」
「……わかった。信じる。信じるよマユ……」
マユミはそのまま小さく呟いた。「……許せない……」
「二人とも聞いてくれへんか」ケネスが切り出した。「あいつの行動はだいたい想像がつく。わいに考えがあるんや」
ケンジとマユミは抱き合ったままケネスの計画に耳を傾けた。
「おそらく、明日の大会で、アヤカはケンジにまたモーションをかけてくる。写真とビデオをネタにお前をゆするはずや」
「でも、ケニー、お前がデータは全部消してしまったんだろ? それでも俺に言い寄るかな」
「安眠チョコの威力を甘く見たらあかんで。約12時間は目が覚めへん。起きたら大会に遅刻する時刻のはずや。データを確認する暇なんてあれへん」
ケンジは少し青ざめて身を固くした。「そ、それはもはやチョコではなく、薬物の範疇……」
「アヤカに言い寄られたらな、ケンジは何食わぬ顔で対応し。よし、練習や」
ケネスはケンジの手を取った。「『海棠くん、また私を抱いてくれるでしょ?』」
「断る」
「『そんなこと言えるのかな? あの写真、みんなにばらまいてもいいの?』」
「ばらまけるもんならばらまら……ばら……まいてみろよ」
「舌、もつれてるで」
「『ばらまいてみろよ』」
「よし、その調子や」
「ケニー、お前はどう振る舞う?」
「もしアヤカがわいのことを疑うてなければ、わいにもモーションかけてくる可能性もあるな」
「そうだな……。微妙な所だな」
「で、どうするの? ケニーくん」
「もし、アヤカがわいに言い寄ってきたら、わいが本当のこと言うたるわ。最終的に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ