51.第二地獄・荼毘伏界
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ブレスを弾いていく。アズやオーネストの元には火の粉の一つも巻かず、邪竜の息吹は虚しく虚空に霧散した。
鎌はそのまま黒竜の顔面に迫るが、黒竜は素早く体勢を低くして回避しながら全身を回転させて尻尾をアズの方へと向ける。鞭のようにしなった尻尾は超高熱を乗せてアズの手前10mに着弾し、高熱でガラス化した大地と共に凄まじい衝撃波と熱風が襲いかかる。
先ほどの衝撃波よりも遙かに性質の悪い灼熱の津波の攻撃範囲はオーネストやリージュにさえ迫る勢いで押し寄せる。
「――ところで、何で俺の苗字がチェンバレットになったか知ってるか?」
不意に――灼熱の津波に突如として無数の穴が開く。穴は凄まじい速度で灼熱の津波を削り取り、直後に黒竜の顔面に無数の衝撃が奔った。衝撃で首元の鱗が『鱗と言う存在を殺されたかのように』容易に剥ぎ取られ、血液の代わりに灼熱の炎が噴出する。黒竜は何が起こっているのか理解できぬかのように目を見開いた。
熱波が防がれたその先にあるのは、銃。
それは、黒竜どころかオラリオの全ての人間が見たことのない兵器。
現代の死神。あちらの世界で最も多くの人間を殺傷した象徴的な突撃銃――その漆黒の銃はAK-47、カラシニコフと呼ばれるものに酷似していた。そして銃には弾倉がなく、代わりに映画でよく見る琥珀色の弾丸を連ねた『バレットチェーン』が伸びていた。そのバレットチェーンが続いている先は――俺の心臓。
「自分でも使い道の分からない力を色々と調べて探ってたら、俺の心臓からこのチェーンが出てきてな。オーネストが面白がって、バレットチェーンから取って『チェンバレット』の姓を付けたんだよ――ここだけの特別情報だから他言無用だぜ?」
これはアズライールという男の魂から精製された魂魄を穿つ弾丸。『徹魂弾』と名付けたそれは、殺すことより滅ぼすことによって死を齎す。『断罪之鎌』が切断によって魂を断ち切る力だとしたら、『徹魂弾』とは触れたもの全ての魂をその場で砕け散らせる破壊の力。
「この銃、色々と使いにくいし見た目が周囲に理解されなさすぎて普段は使ってないんだが………」
こいつは少々『魂が削られる』ので長期間使用すると威力がガタ落ちするが、オーネストが逆転の一手を打つまでは出し惜しみなどしていられない。
俺の両手に『徹魂弾』が、そして『死望忌願』の両手に新たな『断罪之鎌』が。
「お前ぐらいの相手になると話は別だ。サービスするからたらふく喰っていけッ!!」
圧倒的な力に対抗する圧倒的な『死』を内包した俺は、全力でその場を駆け出した。
= =
轟音に混じり、二
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