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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
51.第二地獄・荼毘伏界
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グーはともかくこのままだとリージュちゃんがもたないぞ。この高熱空間で彼女を守れるのは氷の魔法だけだが、魔力が持つものじゃない」
「………アズ、魔力継続回復ポーションと魔力回復ポーションをありったけ寄越して俺とリージュが態勢を整えるまで全力で時間を稼げ。やれるな、親友?」
「考えがあるって事だろう?なら期待に応えるさ、親友――俺は告死天使(アズライール)、死を司る俺にとって、死を退けるなど造作もないことだ」

 懐のポーションをありったけオーネストに押し付けて、俺はオーネストが突きだした拳に自分の拳をこつんとぶつけて笑った。
 こういう時だけは、自分持っている強力過ぎる力があってよかったと思える。大天使なんて御大層な存在とは程遠い俺だが、友達のために大見得を切るときに『死望忌願』は後ろで背中を押してくれる。流れ続ける時間によって運ばれてくる死が訪れるまで、俺の死は俺と共に在る。

(『やれるな、親友?』だってよ………こっ恥ずかしい台詞さらっと言ってくれちゃって。俺って奴は割と冷めた人間の筈なのに、なんでこんな時に嬉しくなっちゃうのかね)

 オーネストがポーションを受けとり、何も言わずにリージュに向かって走り出す。
 その動きを察知した黒竜の口から、マグマより尚熱狂的な火炎の奔流が躍る。直後、まるでレーザービームでも放ったのかと思えるほど凄まじい速度の火炎が閃光となってオーネストに飛来した。オーネストはしかし、それに見向きもしない。

「背中、任せた」
「おう、任された」

 自分と炎の間に、この世で己が最も信頼する男がいることを知っているから。

「さあて、物理的な衝撃波や質量があるんなら鎖しかない訳だが、その炎なら俺でも防げるんでねッ!!さあ、鎌をもう一本追加だ『死望忌願』ッ!!」
『?????? ??? ???? ???――!!』

 俺の鎌が『死望忌願』の手に――そして虚空に伸ばしたもう一本の手が、『もう一本の鎌』を顕現させてガチリと握る。死神の鎌が一本だけ等とは一言も言っていない。ただ、二本同時は威力過剰で出す必要が無かったから出さなかっただけであり、操ることを考えなければ原理的には何本だって出すことが出来る。それこそ、この世にある死の数だけ出せるだろう。
 俺の手の動きとシンクロした『死望忌願』の両手が一対の鎌をバトンのようにグルグルと回転させ、腰を捻って構えを取る。生半可な回転では意味がない。極限まで指先の神経を尖らせ、鎌が一枚の円盤に見える程の速度に加速させる。

「全てを切り裂いて進め、『断罪之鎌(ネフェシュガズラ)』ッ!!」

 瞬間、眼前に迫る超高熱のブレスを腹で受けとめるように鎌が投擲された。万象に死を齎す鎌は大地さえも溶解させる莫大な熱エネルギーに接触し――まるで流水を押しのけるように
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