51.第二地獄・荼毘伏界
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じい熱を帯びている。もしもポーションを飲まなければ、恐らく俺は数分足らずで全身火傷に陥り『生きながらに肺を焼かれて』死に絶えるだろう。
一度は転倒させた黒竜に、俺達は全力で攻撃を叩き込んだ。
リージュの氷は羽に大きなダメージを与え、俺も『断罪之鎌』で前足を切断してやった。ユグーの戦車も吹き飛ぶ超重量の拳は立て続けに足に叩き込まれたし、オーネストはこの機を逃す理由がないとばかりに黒竜の首筋を嵐のような斬撃を叩き込んだ。
だが、オーネストの斬撃が頑強過ぎる黒竜の鱗を断ち切ったその時、黒竜の全身から爆発的な炎が噴出し、一気に形成が変化した。
『ヴルルロロロロロロロ………!!』
黒竜の全身から陽炎が立ち上り、関節や口、目から青い焔がめらめらと立ち上る黒竜が唸り声をあげる。纏っているのは蒼炎――烈火より更に凄まじい熱量を意味する。口からブレスを吐くことは知っていたが、目の前のそれは最早黒竜というより『炎竜』と呼んで然るべきだった。
噴火寸前の火山の火口から這い出た、星の内より湧き出る熱の全てを司る怪物。
その姿は恐ろしくも神秘的で、炎という極めて原始的な危機を集約した『目に見える絶望』として悠然と立ちはだかる。
これまでに攻撃した分の傷は消滅こそしていないが、内側から噴き出る超高温の炎がまるで物質のように欠損部分を包み込み、まるで弱体化など望めなかった。
「………これまでコイツが全身から炎を放出したことなど一度もない。ブレスの持続時間も長すぎる。熱量も前回と比べて格段に上がっている。なんともはや、成長を通り越して進化していやがるな」
「ノンキ言ってる場合か!この熱量、下手すればダンジョンの酸素を全部燃やし尽くしかねんぞ!」
「いいや、どうやらこのフロアは酸素供給が過剰らしい。当然か……酸素が無くなればあいつも炎を燃やせなくなるからな。恐らく魔王の差し金って所だろう」
「全く以て嬉しくない全面バックアップだなオイ。ま、この上更に敵の援軍が来ないだけマシか。あのパワーと熱量じゃあどんなに頑丈な魔物でも巻き添え一発で肉塊にならぁね」
強力過ぎる力は時として味方にまで累を及ぼす。黒竜の発生させていた真空爆弾も、このダンジョンの魔物が喰らえば9割以上は一撃で死に至るだろう。援軍が援軍の役割を為さない以上、魔王とやらも援軍を寄越さない。代わりに黒竜の活動する環境はベストなものを整えるということらしい。
高熱過ぎてかいた汗さえ瞬時に蒸発する環境のなか、俺は鎌を片手に溜息を吐く。本当に、今までのお遊びのような戦いとは桁が違い過ぎる。自慢のコートを今日に備えて耐熱祝福済みのものに変えていなければ、自然発火して火だるまになりそうだ。
「で、こんな予想外過ぎる事態に大軍師オーネスト様はどんな作戦を立てるんで?ユ
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