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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#9
闇夜の血闘 紅の魔術師VS幽血の統世王 〜Darker Than Darkness〜
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【1】

 腕の良い職人の手が行き届いた池泉回遊式庭園。
 (りん)とした空間に鹿威(ししおど)しの音が響き渡る。
 その池に架けられた石橋の向こうで、壮麗なる淑女が可憐な鼻歌を奏でていた。
「カモン♪ ベビィ♪ ドゥーザ♪ ロコモーション♪」 
 皺一つ無い真珠のような艶やかな肌に、母性に満ちあふれた女神のような美貌。
 (なよ)やかな体つきのスーパーモデル顔負けのスタイル。
 客観的には、とても日本人離れした長身の息子がいる一児の母には見えない。
「あ!」
 その淑女、空条・ホリィ・ジョースターは脳裏に走った直感に想わず
床の間の机の上に置かれた写真立てへと視線を向けていた。
 その中に映った最愛の息子は口元に精悍な微笑を浮かべ、
凛々しい視線をこちらに向けている。
「今、承太郎ったら学校で私のこと考えてる……♪
今……息子と心が通じ合った感覚があったわ♪」
 そう呟くとホリィは家事の手を一時休め、その写真立てを胸の中に掻き抱く。
 そこに。
「考えてねーよ」
「学校行ってないものね」
「残念だったな奥方」
 いきなり上がった三者 (?) 三様の声。
「きゃあああああああ!」
 淑女は当然の如く無防備な悲鳴を上げた。
 写真立ての中とはうって変わって最愛の息子は、
不機嫌な仏頂面で自分を睨んでいる。
「!?」
 その息子の肩には、コートのような裾の長い学生服を着た
全身血塗れの少年が担ぎ上げられていた。
「じょ……承太郎……それにシャナちゃん……
が、学校はどうしたの? そ、それに、その、その人はッ!?
血、血が滴っているわ! ま、まさか、あ、あなたがやったの!?
承太郎ッ!?」
 その質問には答えず承太郎はホリィに背を向ける。
「テメーには関係のないことだ。オレはジジイを探している……
広い屋敷は探すのに苦労するぜ。茶室か?」
「え、ええ。そうだと思うわ」
 確認すると承太郎は血だらけの少年を肩に担いだまま
檜の床を踏み鳴らして行ってしまった。
「……」
 ホリィは、その背中を心配そうにみつめる。
 だから、目の前の少女の見上げるような視線に気づいたのはその後だった。
「あ、あら? な、なぁに? シャナちゃん?」
 幼い外見に不相応な凛々しい顔立ちと視線だが、
何分長身のホリィからすると小さいのでどうしても子供に話しかけるような
口調になってしまう。
 何よりその瞳に宿る色が昔の承太郎を思い起こさせたせいかもしれない。
「ごめんなさいね。新しい学校だもの。一人じゃ心細いわよね。
学校には私の方から連絡を入れておくわ。今日は家でゆっくりしていて。
あ、お昼ご飯は何が食べたい? 何なら昨日みたいに外へ行きましょうか?
パパと承太郎も誘ってね」

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