第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#9
闇夜の血闘 紅の魔術師VS幽血の統世王 〜Darker Than Darkness〜
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……」
ホリィのその言葉を聞くだけ聞くと、シャナはおもむろに口を開いた。
「他人の家族の事に口出しするのは、趣味じゃないんだけれど」
と、まず前置きし。
「ホリィはこの件に関わらない方が良い。冷たい言い方になるけど、
出来る事ないと思うから。信じられないかもしれないけど、
あの血だらけのヤツは私と承太郎を 「殺し」 にきたの。
承太郎やジョセフと同じ 『能力』 を持った人間。
だから、死にたくなかったら何も知ろうとしないことが得策よ。
アイツもそれで何も言わなかったんだと想うし」
「……」
ホリィは黙って、目の前のシャナを見つめていた。
「殺す」という言葉に驚かなかったと言えば嘘になるが、
目の前の圧倒的な存在感を持つ小柄な少女は、
どうやら彼女なりに自分の事を気づかってくれているらしい。
不器用だが、そのやり方が承太郎と似ていたので想わず優しい笑みが
淑女の口元に浮かんだ。
「ええ。解っているわ。あの子は本当はとても優しい子だもの。
今回の事だってきっと、私には解らない「理由」が在っての事なのよ。
母親の私が信じてあげなきゃね」
「優しい、ね」
その言葉に、何故かシャナは素直に同意出来ない。
脳裏に、見ず知らずの女生徒のため全身血塗れになりながら
花京院と闘った先刻の姿が浮かんだ。
苦痛に耐えながら、己の存在の力を削ぎ取っている姿も。
血糊はトーチで消したので今愛用の学制服は新品同然になってはいるが、
その内の傷痕はまだ生々しく残っている筈だ。
「……」
押し黙るシャナの遙か向こう側から、
「おい」
凄味のある呼び声がかかる。
「はい?」
反射的にそう答えたホリィの視線の先、中庭に設置された花壇を挟んで
振り返った承太郎が鋭い眼光でこちら見ている。
「今日は、あんまり顔色がよくねーぜ。元気、か?」
「……ッ!」
その承太郎の言葉に、ホリィはまるで初恋の少女のように
顔を赤らめ、まだ持っていた胸の中の写真立てをより強く抱きしめると、
「イエ〜〜イ♪ ファイン! サンキュー!」
と笑顔で愛らしく手の平を広げたピースサインで応えた。
「フン」
鼻を鳴らして再び背を向ける承太郎を後目に、
「ほらね♪」
と、ホリィは満面の笑顔でシャナに向き直る。
「まぁ、そういう事にしておくわ」
「我は奥方の賢明な育て方の賜だと」
短くホリィに答えると同時に、何故か胸元から上がった声に
シャナが視線を落とす。
「あ、いや、うむ……」
心なしか少し熱くなったペンダントの中で紅世の王、
天壌の劫火は咳払いをして押し黙った。
「オイ! シャナ! モタモタしてんじゃあねー!
後で文句垂れても聞いてやらねーぞ!」
遠くになった承太郎が再びこちら
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