第百十三話
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で、各種族領は利益を得ているところもあり、確かに細かい武器型のクッキーはレプラコーン名産に相応しい出来だった……のだが。ユウキはしばし、そのクッキーを食べる手を止める。
「レプラコーンって何を作ってるんだろ……」
「……私たちの近くの人は比較対象にならないんじゃないかな」
ふと出て来たユウキの疑問に対して、ルクスも同じことを思ったのか小さく呟く。クッキー自体は美味しいので満足なのだが。そうして差し出されたそれらで一息ついて、ルクスはまず深々とセブンに頭を下げた。
「まずは……ありがとう、セブン。セブンのおかげで解決したようなものだから」
シャムロックとの関与が疑われている以上、セブン自体――ひいてはシャムロックは動くわけにはいかずに。にもかかわらずセブンは、PK集団の場所を調べてユウキに知らせてくれ、そのおかげでPK集団に奇襲を仕掛けることが出来た。
「まあまあ、それは後でね。先に……何があったのか聞かせて貰えるかしら。噂のPK集団とルクスに、何があったのか」
「あ、ああ」
セブンはそれを気にもしていないように手を振ると、その話は後で――と、妙なことを喋りながら、次の話題を急かした。ユウキの少し心配そうな視線を感じて、そんなセブンの態度を不審がりながらも、ルクスは先日の騒動のことを話していく。自分に関係するPK集団の、SAOの亡霊たちの話を。
かのデスゲームで二つの攻略チームを仲違いさせた方法で、シャムロックや各領に亀裂を生じさせ、PvPメインのゲームに戻す――なんて壮大に過ぎる計画はともかく。ルクスはその首謀者にされかかって、シャムロックは悪役となっていたのだから、他人事とするわけにはいかず。ルクスの話を聞き終わったセブンは、全く面白くないとばかりの表情を隠さなかった。
「聞けば聞くほど気にくわないわね……でも、ルクスはそのグウェンって子と仲直り出来たの?」
「……まだまだ、かな。そう簡単にはいかないよ」
そのPK集団のリーダーであったグウェン。彼女だけはその計画よりも、ルクスを自分だけの友人とするべく行動していた。二人きりで話してはみたものの、簡単に仲直りには至らずに。
「でも、もうグウェンはあんなことしないよ。保証する」
「……ルクスがそう言うなら、ボクは口出せないけど。でも、ショウキが『もう1人黒幕が〜』とか言ってたから、セブンも気をつけてね!」
「スパシーバ。ご忠告はいただいておくわ……でも」
かつての友人を信じきっているルクスと、まだグウェンに嫌な思い出しかないユウキにとっては、感じ方が違うのは当たり前だが。ショウキがもう1人、リーダーがいたかも知れないということで。一応、セブンにもそう伝えておくと、セブンはどうやら何か考え込む動作に移った
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