第百十三話
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い部屋にたどり着いたようで、ノックをすればセブンの元気な声が響き渡った。
「入るぞ、セブン」
「はーい!」
その部屋の扉を開けると、いつものアイドル衣装に身を包んだセブンが、何やらホワイトボードに何かを書き込んでいた。どうやら今後の予定らしいが、書くのを中断してユウキたちの方を見ると、アイドルらしい笑顔を顔いっぱいに浮かべた。
「プリヴィエート、二人とも。来てくれて嬉しいわ!」
「ううん! むしろこっちがお礼を言いに来たんだから!」
再会を喜び合うようにお互いにハイタッチし合うユウキたちを微笑ましく見ながら、ルクスはスメラギが扉を閉める音を背後に聞く。何から話そうか、我ながら他人事めいて悩んでいると、近づいてきていたセブンの指先がルクスの目の前に突き出されていた。
「まずはお茶にしましょ! 話はそれからでいいんだから」
「そう……だね」
せっかく準備しておいたんだから――と、セブンがワクワクしながらお茶にお菓子を準備していき、ストレージに入れてあったのだろうそれらが、ソファーの前にあった座高の低い机に置かれた。二人は遠慮なくソファーに座り、セブンからの紅茶をカップに受け取っていく。
「ショウキくんのコーヒーには及ばないけど、なかなかのものだと思うから!」
「えっ……セブン、あのコーヒー飲めるの!?」
いつぞやに飲ませてもらったところ、やたら苦くて砂糖とミルクに頼った思い出があるユウキにとって、そんなセブンの言葉は寝耳に水で。対するセブンは冷や汗をかきながら、ユウキの尊敬の視線を浴びていた。
「え!? えぇ……まぁ……それより、無駄に広かったでしょ? ここ」
「ああ。シャムロックの組織力を示すものだったりするのかな」
とはいえセブンが飲んだものも、ミルクと砂糖をふんだんにぶち込んだ、ショウキ曰わく「別の飲み物」だったのだが。そんなセブンは営業スマイルで話題をそらしながら、用意してある紅茶にやはり砂糖を投入していく。
「組織力、ってのも正直に言えばあるわね。でもほら、無駄に広い方が逃げ出しやすいでしょう?」
「なるほど……」
「ルクス。冗談だってば。じょーだん」
冗談めかして言ったセブンの言葉だったけれど、ルクスは心底納得したかのように頷いて。そんな生真面目を通り越した様子を面白がりつつ、用意されたお茶菓子をユウキはポリポリとつまんで。
「あ、このお菓子美味しい。セブンが作ったの?」
「まさか。わたし料理なんて出来ないわよ。どっかの名産……レプラコーンだったかしら」
「レプラコーン……」
プレイヤーによる鍛冶屋や服屋が幾つもあるように、PCが作った料理アイテムが出回ることは多々ある。それを名産品として売ること
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