第百十三話
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いかな」
「うん……」
シャムロックの本拠地はその組織力を示すかのように、領主館のような巨大な建物となっており、その隣にはライブ会場が併設されていた。その大きさにユウキが少し気後れしたのか、心配そうに周囲をチラチラと見回していた。そんな挙動不審なユウキの様子を見てルクスが微笑んでいると、金属製の扉が音をたてて開いていく。
「すまない。待たせた」
「いや、こちらこそ時間を取らせて」
シャムロックの本拠地から礼儀正しく現れたスメラギに、ルクスは慣れたようにぺこりと礼をしておいて。ユウキも隣のルクスに倣って同じことをしていると、スメラギはキョロキョロと周りを見渡していた。
「どうしたの?」
「いや……あの男は来てないか」
「あの男って……ショウキさんかい?」
何とはなしに思い浮かんだ人物を口にしてみたルクスだったが、偶然にもそれは正しかったようで。スメラギは小さくその言葉を肯定した後、少しだけ無表情に残念そうな感情が浮かんだ。
「ショウキさんならサラマンダー領に行ってるけど、何か用でも?」
「いや……先日、奴に遅れを取っていてな。再戦といきたかったのだが」
いないのならば仕方あるまい――と、スメラギは言葉を続けつつ、二人を誘いながらシャムロックの本拠地に入っていく。外観に負けじと豪華な装飾をしている内部に、ユウキは目を輝かせながら先を歩くスメラギに聞いた。
「ショウキとデュエルしたことがあるの?」
「ああ。初撃決着だったが、負けてしまった。今度は完全決着でやりたいものだ」
敗北のことを話しているにもかかわらず、スメラギの言葉に負の感情はまるでない。ユウキは自らの動きにも似ているような、フルダイブ環境における動きを見て、スメラギの実力をジッと測ってみる。もちろんシャムロックの実質的なリーダーとして、かなりやるとは聞いているけれど、ユウキの口が小さく笑みの形を取った。
「じゃあ、ショウキの代わりにボクと……なんて」
「遠慮しておく。わざわざ手の内を見せる気はない」
「……ちぇ」
「えっ?」
スリーピング・ナイツによるフロアボス攻略戦において、最も強大なライバルとなりうるシャムロックの実質的なリーダー。それがどんな動きをするのか気になったユウキは、それとなくカマをかけてみたものの、スメラギにすげもなく断られてしまう。
「だけど、随分と広くて綺麗な場所だね……」
「ただ無駄に広いだけだ。移動にも何をするにも時間がかかる……着いたな」
そんな一触即発な空気の外にいたルクスは、改めて辺りを見渡すとそんな感想を呟いて。とはいえそんな豪奢な本拠地は、どうにもスメラギには不評らしく。どことなく不機嫌そうな声色のまま、セブンがいるらし
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