第百十三話
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られたキリトの言葉は、アスナの記憶を刺激してその言葉を思い出させた。その言葉はあの《圏内事件》で、誰でもないアスナ本人が言ったセリフで――そんな何でもないことを覚えられていて、アスナの表情が今度は羞恥に赤く染まっていく。
「……それじゃ、あとは任せたわよ」
そんなアスナを見届けたあと、あとで何か奢る――と言っているような表情のキリトに手を振って、リズはアスナに気づかれないように部屋を出て行った。あとはキリトに任せて大丈夫というか、こうなれば自分は邪魔だろうという確信から。
「……ふぅ」
少しだけ肩の荷が下りて一息つくと、ログハウスの周りの木々にいた小鳥たちが、リズを労うように鳴き声を出した。そんな小鳥たちにしばし癒やされ、たまには森林浴でもしようかしら――と、体を伸ばしながら木々を見ていると。
「おーい! リズー!」
そんな静寂を平気で破る声が空から放たれたかと思えば、落下するような勢いでリズの目の前にプレイヤーが落ちてきた。ポカンと呆気にとられたリズだったが、隕石のように落下してきた彼女は、着地には成功していたようで普通に起き上がった。
「……ノリ?」
「いやー、ごめんごめん。ちょっと勢い余ってさ」
スリーピング・ナイツの一員こと、スプリガンのノリがケラケラと笑って誤魔化しながら、リズに向かって挨拶する。リズもそんな様子に面白げに微笑みながら、自分たちの後ろにあるログハウスを指差した。
「キリトかアスナに用があるなら、よほど急じゃなければ今は邪魔しない方がいいわよ」
「うん。アスナにはユウキが自分で言うって言ってたし……あたしはリズに用があってきたの」
「あたしに?」
スリーピング・ナイツの件でアスナに用かと思ったが、どうやら違うらしく。しばしユウキがどうのこうのと口を濁しながらも、ようやくノリはリズに対して口を開いた――いつもムードメーカーとして明るい雰囲気を崩さないノリだったが、その時はしばし真面目な雰囲気を身に纏っていた。
「何?」
ただ事ではない、とリズも判断して。歩きながらの方が話やすかろうと、ノリを連れ添って森を歩きながら、真剣に彼女の言葉を聞こうとする。
「あたしたち、スリーピング・ナイツの話」
「おっきい建物だねー……」
「この浮遊城で、まさかライブ場を見ることになるなんて思わなかったよ」
一方でルクスとユウキの二人は、シャムロックの本拠地に来ていた。それぞれのメンバーは、馴染みがある各領に、各領とシャムロックを仲違いさせようとしたPK集団のことを伝えに行っており、二人の担当はシャムロックだった。
「でも、いきなり来て大丈夫だったのかな?」
「前もってメールでセブンに予定聞いたし。なら大丈夫じゃな
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