第二章
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で終わりではなく今度は洗剤、食器洗い用のそれを思いきりかけてきた。今度は全身から刺す様な激痛を感じた。そうしてだった。
ゴキブリは苦しみ抜いて死んだ。家に急に出て来たゴキブリは。だがそれと共に。
大谷の姿は消えた。家からも会社からも。家族は一応捜索願いを出した。だが。
彼は一行に見つからなかった。完全に蒸発した。それを受けてだ。
会社では彼はすぐに行方不明で退職扱いとなった。大谷の机が会社の中から完全になくなりロッカーの名札も捨てられたその日。同僚だった彼等は祝杯を挙げた。
「これであいつの顔は絶対に見ないな」
「ああ、いなくなってよかったぜ」
「清々したぜ」
心の奥底からだ。彼等は喜んでいた。
「性格悪過ぎたからな」
「人間の屑そのものだったからな」
「そいつがいなくなったからな」
「いやあ、よかったよかった」
「死んだかな、やっぱり」
「死んでればいいな」
本当にだ。その蒸発は誰もが喜んでいた。そしてだ。
それは同僚達だけでなくだ。かつて彼と同じ学校だった面々も同じだった。中学校の同窓会でも高校の同窓会でもだ。祝賀会の様にこう言われていた。
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