第二章
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その底意地の悪さと自己中心的なものはさらに悪くなった。
それでだ。彼等も大谷を嫌い抜いていた。
「あいつ辞めて欲しいな」
「一緒に仕事したくないな」
「ミス押し付けて手柄横取りしてな」
「死んでくれよ」
こうだ。彼等は居酒屋で大谷のことを話していた。
「飯田なんかな。居酒屋で部長の悪口言ってたらな」
「ああ、あいつそれ部長にちくったよな」
「それでえらいことになったよな」
「飯田今やばいことになってるぞ」
部長に睨まれてのことであるのは言うまでもない。
「何かあちこちで俺達がしたとか言って大嘘流しまくってるらしいしな」
「俺なんか浮気してるとか言われたぞ」
「俺もだよ」
そうした嘘を底意地悪く言いふらすこともだ。大谷はしていた。
「人のもの勝手に使って壊したりな」
「ああ、そういうことだってやるしな」
「あんな性格の悪い奴滅多にいねえよ」
「どうにかならないのかよ」
とにかくだ。彼等も大谷を嫌っていた。大谷は何処までいっても嫌われ者だった。
そしてある日だ。大谷が朝起きるとだ。彼のはベッドの中にはいなかった。
ベッドの中にいたがそこから身体を出してはいなかった。中に完全にいたのだ。
「?何だよ一体」
大谷は不思議に思いながらベッドから出た。そしてだ。
部屋の中を見回した。だが部屋の中は普段より遥かに大きかった。しかも無数に同じものが見える。色彩はあったが何かが違う感じだ。
このことに不思議に思いながらもだ。彼は扉、幾つも見えるそれに手をかけようとする。だが。
それもできなかった。全くだ。それで扉が僅かに開いているのを見てその間を潜った。そうして台所に向かっていつもいじめている妹に声をかけた。
「おい」
「!?」
妹も無数に見える。しかもだ。
彼を見て驚きの顔をしていた。しかもだった。
慌てて台所の奥に入ってそこからあるものを出してきた。それは。
殺虫剤だった。それを持って来て彼の前に来たのだ。
「ゴキブリ、ゴキブリじゃない!」
「おい、誰がゴキブリだ!」
大谷は妹に抗議した。幼い頃からいじめている彼女にだ。彼は実家に住んでいるが家族からも嫌われていた。図々しく勝手なことばかりするからだ。
妹には機嫌が悪いとすぐに八つ当たりをして意地悪をしてきた。だから妹も彼を嫌い抜いていた。その妹がだ。殺虫剤を出してきてだ。
彼にかけてきた。そしてだった。
殺虫剤をまともに浴びるとだ。すぐにだった。動きががくん、と鈍った。
自分の身体が動けなくなっていくのがわかる。だが妹はその彼にだ。
やかんを持って来て熱湯も浴びせてきた。全身が煮え立つ様に熱くなる。
しかもそれ
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