第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#8
CRAZY PLATINUM LIGHTNING 〜雷吼〜
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深紅の火線で描かれた紋章が浮かび上がる。
それと同時に繋がれた手から承太郎の白金色に輝く存在の力が流れ出した。
「!」
自分を……体などではなく、自分そのものを削るかのような薄ら寒い喪失感。
その感覚が全身の傷の至る所に絡みつき、やがて悲鳴を上げ始める。
全身を蝕むような、その痛み。
まるで、同じ箇所を何度も何度も切り刻まれているようだった。
「……う……ぐぅ……!」
全身を生き物のように這い回る苦痛に、
想わず呻き声が漏れそうになるが承太郎は耐えた。
耐えなければならない 「理由」 があった。
目の前で横たわるこの少女は、もっと苦しかったはずだから、
もっと辛かったはずだから。
シャナが振り子のように何度も指を振り翳すのと同時に、
承太郎から抜け出た白金色の光が煌めきながら
吉田 一美の華奢な身体を螺旋状に包んでいく。
優しく、そっと、スタープラチナの腕がそうしたように。
そして、やがて、靡きながらも消えていく。
制服の血糊も、躰の傷も、涙の痕も、悪夢の記憶も、
そして、承太郎への想いも、全て。
輝く白金の光に包まれて……
「空条……君……」
漏れ出る光が消え去る寸前、吉田 一美の口から声が漏れた。
閉じた瞳から、涙が一筋流れ落ちる。
最後の涙。
承太郎の存在が宿った、最後の雫。
その声に承太郎が、本当に小さく呟いた。
風に消え去りそうな、小さな声で。
あばよ、と。
その独り言が、シャナには聞こえた。
シャナにだけ、聞こえていた。
←To Be Continued……
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