第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#8
CRAZY PLATINUM LIGHTNING 〜雷吼〜
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
怒ってしまう……
だから喉内部あたりを出るときにキズつけてやったみたいだな……
君が 「悪い」 んだぞ……? 空条 承太郎……これは君の責任だ……
これは空条……君のせいだ……君がヤったんだ……
最初から大人しく殺されていれば、この女生徒は無傷で済んだんだ……」
花京院はその秀麗な美貌をやや歪め、忌々しそうに吐き捨てる。
「くっ! おまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
あまりにも身勝手な花京院の言い分に、シャナの怒りが燃え上がった。
灼眼の煌めきが増し、炎髪が鳳凰の羽ばたきのように火の粉を空間へ振り撒く。
「……」
その花京院の言葉に対して何の反論もせず、承太郎は無言で立ち上がった。
俯いている為、表情は伺えない。
しかし全身から血を流しながらも、
重い足取りでゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
その彼の足跡には、無数の血の痕が紅い轍となって残った。
「ほう? 立ち上がる気か? 愚かな。
ただ殺される為だけに死力を尽くすとは。
大人しくしていればこのボクに 「奥の手」 を使わせた事に対して敬意を表し、
楽に殺してやったものを」
「!」
シャナが紅い灼眼でキッと花京院を睨むが、
すぐ敗残兵のようにボロボロな姿のままこちらに歩み寄って来る
承太郎に向き直って叫んだ。
「承太郎! おまえはもう戦える状態じゃない! 後は私に任せなさい!
この男 『法皇の緑』 は私が討滅するッ!」
しかしもう、シャナの声は承太郎に届かない。
もう誰の声も、今の彼には届かない。
「……」
承太郎は地面の上に倒れている吉田 一美の傍まで来ると、そこで足を止めた。
胸元から血を流す承太郎の身体から幽波紋
『星の白金』 が静かに抜け出る。
そしてそのスタンドの両腕が、吉田 一美の小柄な躰をそっと抱きかかえた。
少女のその躰は、想像していたよりも、もっとずっと軽かった。
歩きながら半透明のスタンドの手が口元の血を拭い、
野生の花々が群生している草むらにそっとその身を横たえる。
もう決して誰にも触れさせないように。
もう決して誰にも傷つけさせないように。
承太郎の脳裏に、先刻のあどけない笑顔が甦る。
名も無き花に囲まれた少女は、本当にただ眠っているようにみえた。
彼女に一体、何の「罪」が在ったのか?
少女はただ、自分の為に行動しただけだった。
彼女なりに精一杯、自分に出来る事を考え、一生懸命それを実行しただけだった。
しかし。
その少女は、今。
いま……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ