第182話 劉弁と正宗 後編
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わせなかったんや!」
張遼は矢継ぎ早に話し賈?を責め立てた。賈?は済ました顔で張遼のことを見ていた。
「必要無いからよ」
賈?は張遼の問いに興味なさそうに答えた。
「ほんまに言っているんかい?」
張遼は賈?の言葉が理解できない様子だった。
「向こうから態々訪ねてきたんやろ。劉車騎将軍は和解のために来たことは分かりきっているやろ」
「月に会わせたら、月はきっと劉正礼に従うことを選ぶわ」
賈?は暗い目で誰もいない虚空を凝視した。同僚の不穏な空気に張遼は気づくも、それには触れず同僚の説得に専念しようとした。
「それでいいやろ。何が不満なんや。向こうから態々足を運んだということは悪い話な訳やないやろ」
「月は劉正礼の家臣で終わるじゃないの。そんなことは許せない」
賈?は暗い目に殺気が籠もりだした。
「賈?っち。お前はアホちゃうか! 月を殺す気か!」
張遼は賈?に罵声を浴びせた。彼女はこのまま賈?に暴走させては董卓の身が危険になると考えているようだった。
「月は殺させないわ」
賈?は口角を上げ張遼に言った。
「賈?っち。何をするつもりや」
「皇帝陛下を退位させ、陳留王に皇帝即位してもらうわ。王允は殺すわ。あと逆らう百官は皆殺しにするわ」
賈?の決定ありきの発言に張遼は表情を強張らせた。
「そないなことは無理や。賈?っち。正気か!?」
「私は正気よ。これ以上、劉正礼に都に居られていては私達に目はないわ。折角掌握しつつあった禁軍の中に不穏が動きを始めた奴らもいるみたいだし。全部劉正礼のせいだわ。あいつを殺さないと私達の未来はない」
賈?の狂気に満ちた告白を聞かされた張遼は身体中に汗をかいていた。
「今からでも遅くない。劉車騎将軍と月を会わせるんや。なあ。賈?っち。アホなこと考えんときや」
「心配しなくても劉正礼を始末する算段は整えているわ。霞、あんたは誰の味方なの?」
賈?は座った目で張遼を見た。
「ウチは月の味方や。賈?っち。もうお前のやり方には従えん」
「そう。どうする気?」
賈?は声音は変わらないが張遼を見る双眸は鋭くなっていた。一騎当千の武将である張遼は賈?の睨みに動ずる様子もなく、逆に賈?を睨み返した。
「ここでのことは聞かなかったしたる。だから考え直せ。ウチは劉車騎将軍に会いに行って、月と会う日を決めてくる」
「分かったわ。失敗したら逆賊になるものね。私が浅はかだったわ。ちょっと焦り過ぎていたみたい。霞、ありがと」
賈?は考える素振りを見せた後、暗い目を潜め張遼を見ると張遼の提案を受け入れた。
「そうか。賈?っち。分かってくれたんやな。脅かさんといてや」
張遼は安堵の溜息を
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