第182話 劉弁と正宗 後編
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したのか頷いていた。
「華琳、それでよろしく頼む。秋蘭も十分に気をつけて欲しい」
正宗は秋蘭に気遣うように声をかけると、秋蘭は拱手した。
正宗は董卓に会いに彼女の屋敷に向かった。泉と護衛の騎兵二十を引き連れていた。突然の訪問と言うことも有り、董卓の屋敷には使者を先に向かわせていた。
正宗がゆっくりと馬に揺られ進んでいると、董卓の屋敷へ出向いていた使者が馬に乗り現れた。彼は正宗の元に来ると下馬して、正宗の足下で膝を折り拱手した。
「車騎将軍、董少府の屋敷へ行って参りました」
「董少府は何と言っていた?」
「賈尚書令が代理で現れ、董少府は病気にて会えないと申しておりました」
使者の男は恭しく正宗に事情を説明し始めた。泉は話を聞きながら不機嫌そうだった。
「病気か。そう言えば、黄巾の乱の時の引き継ぎでも病を理由に賈尚書令を使いに寄越してきたな」
正宗は淡々とした口調で言った。
「使者の役目ご苦労であった」
正宗は視線をかしづく使者に向けると彼を労った。使者は正宗の言葉を聞き終わると、騎乗して正宗達に加わった。
「取りあえず董少府の屋敷に向かう。董少府が病というなら見舞いをしたい」
「正宗様、あからさまな仮病に思えるのですが」
泉は正宗の考えに賛同していない様子だった。彼女の様子に正宗は笑みを浮かべた。
「そんなことは承知の上だ。私が直々に足を運んでも拒まれれば諦めもつく」
泉は「正宗様がそう仰るなら」と答え、正宗達は董卓の屋敷に向かった。董卓の屋敷は九卿の地位にあることもあり立派な門構えと広さがあった。正宗は屋敷を見回した。
「中々立派な屋敷だな」
正宗は同行している使者役の男に「私が着た」と屋敷の者に伝えてきてくれと命令した。
一刻(十五分)もしない内に屋敷から賈?が門を開かず出入り口から出てきた。彼女は屋敷の家人を三人引き連れていた。門を開かないということは正宗を招くつもりは無いことが窺えた。泉は賈?に憮然とした表情を向けるが、正宗が泉を視線でなだめると態度を改めた。
「劉車騎将軍、当然のお越しときき驚きました。屋敷の主が病に伏せっているため、私が代理としてご挨拶に参りました」
賈?は馬上の正宗に対して拱手し挨拶をした。正宗はしばし賈?を見ていた。
「黄巾の乱の折りもこのようなことがあったな。黄巾の乱の折り、軍務の引き継ぎを受けた時であったか」
正宗は昔のことを思い出しながら呟いた。賈?は正宗の話に一瞬肩を固くさせるも直ぐに平静を装った。
「その節は主の不始末でご迷惑をおかけいたしました」
賈?は申し訳なさそうに述べた。顔を伏せているため、正宗は表情まで読めなかった。
「別に気に
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