第182話 劉弁と正宗 後編
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し憚ることの方が皇帝陛下への不敬であろう」
「劉車騎将軍が褒められた劉景升殿の息女・劉g殿も十分に荊州牧の地位に相応しいかと存じます」
「残念ながら劉g殿は荊州牧の地位に就くことを辞退されていた。私は上洛前に両名に内々に荊州牧につく意思が有るか探りを入れた。しかし、劉g殿は政治より母と一緒に静かに暮らせて欲しいと言われていた。賈尚書令、劉g殿の気持ちは当然のことであろう」
正宗の告白に賈?は沈黙した。賈?は正宗を「直に確認しないと信用できない」と言いたい気持ちであったが、それを口にして周囲のひんしゅくを買うことは避けたい様子だった。それに賈?は正宗に後ろめたいものがある。過日、劉表を脅迫した件をこの場で引き合いに出されることだった。それを出されれば、賈?の意見は一蹴され彼女の立場が一気に悪くなるだろう。
劉表は劉gの話を聞き沈痛な表情を浮かべていた。実の娘がそこまで胸を痛めていたことを劉表は知り、士大夫としてより人の親の顔を現していた。
「劉gの件は惜しい。しかし、政情不安の状況にある荊州を放置もできん。劉車騎将軍の上奏通り袁公路が人物・実績を鑑みて一番相応しいようだな。皆はどう思う」
劉弁は劉gを惜しい人物と本気で思っているようだった。
「私も劉車騎将軍に同意見です。袁南陽郡太守の名声は中央にも聞こえております。民に慈悲深く、貧民にも手を差し伸べ、南陽郡の治安は向上していると聞いています。力でなく、徳により南陽郡を治めている彼女の手腕は高く評価すべきと存じます」
王允は正宗の意見を補足するように美羽の実績を説明した。劉弁は王允の説明を聞き終わると心を固めた様子だった。
「袁南陽郡太守はそれほどの人物か。であれば荊州牧に適任であろうな」
美羽を荊州牧に据える流れが整った。その後、正宗は論考として麗羽・桂花・炎蓮(孫堅)を揚州刺使、九江郡太守、豫州刺使それぞれに任官する推挙を行い劉弁から認可を受けた。その間、賈?は闇を抱えた暗い目で正宗のことを見ていた。彼女の放つ空気を正宗は感じ取っていたが気付かない振りを通して朝議を終えた。
朝議を終えると正宗は解放された劉表を伴い正宗の屋敷に帰宅した。屋敷は上洛に同行した泉・華琳・秋蘭、それと正宗軍兵士二千と華琳の兵士五十が既にいた。正宗は彼らの出迎えを受け、屋敷内の一室に入った。連日の詮議で疲労困憊の劉表は正宗に休ませて欲しいと頼み部屋を提供され身体を休めていた。
現在、正宗は屋敷の一室に入り今後の方針を決めるべく、泉・華琳・秋蘭を集めていた。正宗は三人に朝議のあらましを包み隠さず話した。
「朝議は計画通りということですね」
正宗が説明を終えると華琳が口を開いた。
「呆気ないほどに上手く進んだ。賈文和が茶々を入れてくることは
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