お別れ
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、そう言う人たちはギルドの周辺にテントを建てるなどして対応している。
俺は運よく住んでいるアパートが残っており(といってもボロボロだったけど)、そこから通っているから近くに集まっている人よりもギルドに来るのは遅れてしまうこともある。でも、それでもこの人数の集まり方、そして全員が同じ方向を向いているのはあまりにも不自然だ。
「ウェンディ」
「あ、シリル!!」
俺は一番後ろで、ピョンピョンと飛び跳ねている少女へと声をかける。彼女がスカートで飛び跳ねているものだから、見えてしまうのではと思い声をかけたのも一つの要因ではあるが・・・
「どうしたの?これ」
「わかんない」
「私たちも朝来たらこんな状態だったわ」
「さっき来たばっかりなんだけどね〜」
どうやら彼女たちもつい先程来たばかりらしく、事情を把握していないらしい。仕方ないので、俺たちは人混みを掻き分け、先頭へと進んでいく。
「すみませ〜ん」
「ごめんなさい」
人の間を通りながら前へと進む俺とウェンディ。シャルルとセシリーは小さいから、難なく抜けることができていて少し羨ましい。
そして、やっとの思いで先頭に来ると、そこには木材の上に腕を組んで座っているマスターがいた。
「来たか、シリル、ウェンディ」
「グレイさん」
俺たちに声をかけたのは氷の造形魔導士。彼の隣には、ジュビアさんやエルザさんたちもおり、何やら雑談しているようである。
「どうしたんですか?これ」
「さぁな、朝来たら全員集められてたんだ」
「だからジュビアたちもよくわからないんです」
どうやら、この状況を理解できていないのは俺だけではないらしい。他の皆さんもさっぱりなようで、周囲にいる人たちとそれぞれの憶測を話し合っていた。
「全員、揃ったようじゃな」
すると、わずかに目を開きギルドの全員が集まったのを確認すると、マスターはその場で腰を上げる。
「あれ?ナツさんは?」
「そういえば見てないわね」
「ハッピーもいないよ〜」
キョロキョロと周りを見ているウェンディが気付いたこと、それはナツさんとハッピーだけがまだ姿を見せていないということだ。
しかし、マスターはそれを事前に把握していたのか、気にする様子もなく閉ざされていた口を開く。
「今日集まってもらったのは他でもない。これから重要な報告をする。心して聞け」
いつだかのS級魔導士昇格試験のことを思い出す。でも、その時とは違い、真剣な表情を彼はしていたため、全員話すのをやめ、彼に視線を集中させていた。
「今日、この時を持って、妖精の尻尾を解散する」
「「「「「・・・え?」」」」」
マスターのその一言で、全員の思考が停止した。
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