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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
お別れ
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ら今まで、姿を見せなかったことを理解してくれ」

スキアドラムとハルジールがそう言う。天狼島でアクノロギアに襲われた際も、クロッカスにエクリプスからやってきたドラゴンが来た時も姿を現さなかったのは、アクノロギアを倒すチャンスのタイミングを図っていたからだったのか。

「イグニールでさえ、アクノロギアは倒せなかった。だが、イグニールもまた、死せる前の最後の力だった。人間たちよ、どうか炎竜王の尊厳に傷をつけることなかれ」

メタリカーナがそう言った後、いまだに煙が立ち込めている方向へと目をやる俺やガジルさん。そこにいるのは、大きく口を開き息絶えているドラゴンと、彼の前でガッカリと膝をつく青年。

「イグニールほど勇敢で、人間を愛したドラゴンはいなかった」

アクノロギアと互角に戦っていたイグニール。しかし、彼は暗黒の翼に勝つことはできず、圧倒的なその力の前に破れ去った。
ナツさんはようやく再会することができた父のその姿に、涙が止まらなくなっている。

「まだ全てを伝えきれたわけではないけれど、時間が来たわ。お別れの時よ」

すると、俺たちの体内にいたことでギリギリ生きていたドラゴンたちも、限界を迎えたようであった。

「やだ・・・」

グランディーネの言葉を聞いて、一度拭った涙をまた溢しそうになりながらウェンディが呟く。

「この先も数々の困難があるだろうけど、あなたたちならきっと大丈夫」
「やだよグランディーネ!!行かないで!!」

身を小さくしてウェンディに優しく語りかけるグランディーネ。それでも、少女は大好きな彼女がいなくなってしまうことを受け入れられず、首を振り涙を流している。
俺は、そんな彼女をギュッと抱き締めた。

「大丈夫!!俺がついてるから!!」
「シリル・・・」

本当は、俺もヴァッサボーネたちとの別れに泣き出したい。でも、俺にはウェンディもセシリーもシャルルも、ギルドのみんなもいる。だから・・・

「ウェンディは俺が守るから!!二人が守ってくれたみたいに!!」

ヴァッサボーネとグランディーネの方を見て、無理矢理作った笑顔を見せる。それを見た二人は、視線を交わした後小さく微笑んでみせた。

「成長したわね、シリル」
「小さいままなのにな」
「お前貶す以外の言葉かけれないの!?」

素直に誉めてくれるグランディーネと違い、なおも厳しい言葉をかけてくるヴァッサボーネ。だけど、彼らしいその言葉を聞いて、俺もウェンディも思わず笑ってしまった。

「シリルがいてくれるなら、私も大丈夫」

涙を拭って、二人に微笑みかける天竜。その姿を見たドラゴンたちは、閉じていた翼を大きく広げ、空へと飛び上がる。

「人間たちよ。争い、憎しみ合っていた記憶は遠い過去のもの」

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