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大統領 彼の地にて 斯く戦えり
第二十話 特地説明会
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入してしまったらしい。まぁ俺は知らん。奴が勝手に怒らせたんだ、精々死んで償うんだな。

ロゥリィはハルバートを覆っている布を取り払うと一瞬で幸原のいた演説台を真っ二つに破壊した。
「……ひっ!?」
幸原は一瞬の出来事で分からなかったようだが、すぐに状況を理解して頭を埋めた。
ロゥリィは未だその怒りを鎮めてはおらず、床に蹲っている幸原に近づいて行った。そろそろ止めさせておくか。あまり暴れられても困る。
俺はロゥリィに近づくと頭をポンポン叩いた。
「何よぉ?」
不服そうな顔をするロウリィを無理やり席に戻させると、俺は演説台に進んだ。

「日系人は昔からその年齢を武器にしているようですが、ここにいるロゥリィ・マーキュリーさんはここにいる誰よりも年長なのです」
流石に先ほどの出来事から完全復帰していない幸原は答えられるはずもなく、代わりにクロスムが尋ねてきた。
「一体幾つなのですか?」
「961歳になるわぁ」
先ほどとは違い平然とした表情でロゥリィが言った言葉に部屋は騒然となった。
「……ちなみに隣のテュカさんは?」
「165歳よ」
テュカも平然と通常ではありえない数字を言う。その言葉にさらに部屋は騒然となった。
「……と言うことは…?」
「……15歳」
見た目は小学生ぐらいに見えるレレイも、と不安になったクロスムだったが、見た目道理の年齢でほっと胸をなでおろした。議員やマスコミもほっとした表情になっている。

年齢紹介が終わるとレレイが演説台に歩み寄ってきた。俺はレレイと入れ替わるように座った。
「私はヒト種、その寿命は60から70年。私たちの世界の住民はほとんどがこれ。
テュカは不老長寿のエルフ、中でも希少な妖精種で、寿命は永遠に近い。
ロゥリィは元々はヒトだけど、亜神になったことにより肉体年齢は固定された。通常は1,000年程で肉体を捨てて霊体の使徒に、やがては神になる。従って寿命という概念はない」
あまりにも突拍子な話だったので部屋にいる全員が唖然とした表情と困惑した表情が混ざったような顔になっている。


「……では質問もないようですので、これにて特地説明会を閉会いたします」

クロスムは何気ない表情で言った。議員やマスコミもぞろぞろと部屋を出ていき、最終的幸原は1時間も座り込んでいたそうだ。

こうして波乱万丈な特地説明会は閉幕した。

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