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大統領 彼の地にて 斯く戦えり
第二十話 特地説明会
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に対する非人道的扱いが行われ、その報復としてイタリカを含む周辺地域を領地とするフォルマル伯爵領を外交交渉によって占領下に置いたこと。
上記の件に加えて帝国第三皇女ピニャ・コ・ラーダに帝国の講和派の説得を行わせていること。
帝国の焦土作戦によって発生した難民が多数アルヌスに保護を求めにやって来ていて、増加の一途をたどるであろうということ。

まとめるとこんな感じだ。
説明が終わると次はそれに対する質疑の時間になった。
クロスムが質疑に入らせると、若い男性議員が演説台に進んだ。
「フォルマル伯爵領を占領したとのことですが、これには何か理由はあるのでしょうか?」
言い終わるとクロスムが俺の名前を呼んだ。
「傀儡国と考えていただきたい」
俺は短くそう答えると席に戻った。すると男性議員は半ば納得したような表情で席にどもった。次は女性議員が演説台に歩み寄った。神経質そうで厚化粧をしている近寄りたくない雰囲気を出している。

「単刀直入にお尋ねしますが、避難民に150人以上の犠牲者が出たのは何故でしょうか?」
そう言いながら女性議員は手に持ったフリップを演説台に見せつけるように置いた。
クロスムが俺の方をじっと見ている、やはり俺が答えないと駄目か…。俺は内心嫌だなと思いつつ演説台に進んだ。正面を見ると女性議員のきつい目線が視界に入るので少し視線をずらしながら話した。
「150人以上の犠牲者を出した最大の理由はドラゴンが我が方より強かったからです」
「なっ、何を他人事のように!尊い命が失われたのですよ!?そのことに対して責任は感じないのですか!?」
女性議員はフリップを今にも折りそうな勢いで叩いた。
「戦闘によって犠牲者が発生するのは必然であって、それを失くす事は不可能に近いことです。無理難題を押し付けないでいただきたい」
俺がそう答えると女性議員は押し黙った。
「加えて我が方の火力不足が致命的です。戦車に小銃で立ち向かうようなものですね。これで犠牲者を無しにして勝てと言われるので?私なら御免被りたいですね」
言い終わると解析部の男が手を挙げた。
「ドラゴンの鱗を解析した結果、タングステン並みかそれ以上の強度を誇っていることが判明しております。加えて超高温の火炎を吐く、まさに空を飛ぶ戦車であります。大統領のおっしゃる通り、これを相手に犠牲者をゼロにしろという方が問題ありと思われます」
発言が終わると”全くだな””その通りだ”という声が彼方此方から上がった。女性議員は渋々発言を取り下げた。

やっと終わったかと思うと次はシェーンコップを指名した。シェーンコップは俺と入れ替わるように演説台に進んだ。相変わらず不敵な笑みは健在だ。

「ではお尋ねしますが、避難民を護衛していた部隊は実質的にあなたが指揮を執っていたそうですが、そ
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