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大統領 彼の地にて 斯く戦えり
第十八話 会談
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「そしてこちらがペルシャール・ミースト皇帝」
ハイドリヒの紹介が終わると今度はレレイが俺を改めて紹介した。しかし俺が皇帝?シェーンコップが聞いたら笑うだろうな。

ピニャ皇女の顔を見ると真っ青になった絶望したような表情が目に入った。
散々こっちに高圧的な態度を取ってきたんだ。少しは肝が冷える思いでもすればいいんだ。本題に入るとするか…、小芝居の始まりだな。






話しが終わったのは30分後の事であった。その中でロンディバルト民主共和国とピニャの間で以下のような取り決めがなされた。


一、イタリカを含むフォルマル伯爵領をロンディバルト民主共和国の占領地とし、同地
  の防衛及び治安維持は同国の軍隊がそれを担う
二、伯爵領の政治はロンディバルト民主共和国の合意の上で行うこと
三、フォルマル伯爵領はロンディバルト民主共和国は軍政両面での介入及び協力を拒否
  してはならない
四、フォルマル伯爵領ではロンディバルト民主共和国の法律が適用される。よって伯爵
  領内の人や私財は同国の法律で保障される
五、ロンディバルト民主共和国を後見とするアルヌス協同組合がイタリカを含む伯爵領
  と行う貿易等によって発生する必要経費の全てを免除し、必要であれば最大限の協
  力をすること
六、現当主であるミュイは11才であり、ロンディバルト民主共和国の法律では義務教育
  の対象であるため、同国より派遣する教育員によって教育を受ける義務がある


以上が主な内容である。

当初ピニャはこれに反対したが、ペルシャールはその度にその強大な軍事力をチラつかせ、強引に話を押し通したのであった。このことについて後にマスコミや反大統領派から非難が来たが、国民のほとんどは帝国に対して大小あれども怒りを持っており、大多数がこれを支持したため、彼らはその口を閉ざすしかなかった。最もペルシャールはただ説明するのが面倒くさかっただけであった。


「さて、では次にピニャ皇女、貴方の処遇について決めていきましょうか」
ペルシャールのその言葉にピニャは身構えた。
「私と致しましてはこのままフォルマル伯爵領に留まり、我が国との仲介役を務めていただきたいと思っているのですが…」
「…つまり帝国を裏切れというのか?」
ピニャは低い声で言ったが、ペルシャールは怯みもせずに続けた。
「率直に言えばそういうことになりますね。まぁ帝国に帰るといっても、ただで返す気はありませんが」
その言葉に随伴員のボーゼスは剣を抜こうとした。しかしそれをピニャが手で止めた。
「抜いて頂いても構いませんよ。そこに控えているシェーンコップを倒すだけの自信があればの話ですが」
シェーンコップの強さをよく知っていたボーゼスは渋々手を剣から離した。それを見
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