第十六話 帰還
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てしまったと思いつつも、ピニャの顔を見て断わるわけにもいかず、条件付きで同行を許可した。随行員はピニャ自身を含めた二人のみ、武器の携帯は禁止、この二つである。
ピニャは二つ返事で承諾し、すぐさま準備のために自室へと走り去っていった。
ペルシャールは面倒だな、と思いつつ大広間を出た。
ペルシャールの一行は日の出と同時にピニャと随行員ボーゼスという荷物を乗せてイタリカを出発した。南門から城外へ出ると、上空には5機の戦闘ヘリ、前後左右には計40台の機甲部隊が周囲の警戒を厳にしつつ追従した。
「鉄の天馬に、鉄の象・・まさしく異世界の怪物・・・」
周囲を囲んでいる戦車部隊を窓越しに見たピニャは声を震わせながら呟いた。
「!?殿下!アルヌスです!」
「もう着いたのか!?なんという速さだ・・・」
ピニャはあまりの速さに唖然とした。半日どころかたった二時間程度走っただけでアルヌスの丘に到着である。
「あの杖・・ロンディバルト軍の兵は皆魔道士なのか?」
平原で行われている射撃訓練を見たピニャは疑問を口にした。
「あれは魔導ではない。銃、あるいはライフルと呼ばれている武器」
その疑問にレレイが答えた。
「武器だと!?」
ピニャが驚くのも無理はない。帝国では銃はおろか火薬を使った兵器は何一つ開発されていないのだ。無論大砲なんてものも存在しない。
「原理は簡単。鉛の弾を炸裂の魔法で封じた筒で弾き飛ばしている」
「それをすべての兵に持たせているというのか・・」
「そう、ロンディバルト軍はそれを成し銃による戦い方を工夫して、今に至っている」
「戦い方が・・・根本的に違う」
「だから帝国軍は負けた」
レレイは表情が買えずに言い放った。その一言がピニャに鋭く突き刺さる。
「なぜ・・こんな連中が攻めて来たのだ・・・?」
「帝国は鷲獅子の尾を踏んだ」
「帝国が危機に瀕しているというのに、その物言いはなんですか!!」
ボーゼスがレレイに対して怒鳴った。
「私は流浪の民。帝国とは関係ない」
レレイは平然を返した。
「さっきから聞いてましたが、帝国とは攻め込む覚悟はあっても攻め込まれる覚悟はないのですかな?それもそちらから攻めてきて”なぜ攻めてきたのだ”など、冗談も大概にしていただきたいですね」
ペルシャールの言葉にピニャは沈黙した。それをミラー越しに見たペルシャールはふっとため息をつくとアルヌスの方に目を向けた。そこには数えきれないほどのテントが張られていた。
”緊急用避難テント”
テントにはそう書かれていた。
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