第十四話 大統領救出作戦前
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たワインが飛び散った。
「・・え・・・?」
ボーゼスはいきなりことで理解できなかったようで、呆然とその場に座り込んだ。
「ひ、姫様!?我々が何をしたというのです!?異世界の軍の指揮官を捕虜にしたのですよっ!?」
パナシュはボーゼスの顔に着いたワインや血を拭きながら尋ねた。
「分からんかっ・・・?」
ピニャはそういうと顔を俯けながら横の壁を見た。そこにはペルシャールとシェーンコップが座り込んでおり、後者は何とか意識を保っているものの、前者は完全に意識が飛んでいてわけわからんことを呟き続けている。
「ミースト殿!!ワルター殿!!」
ハミルトンが必死に呼びかけるが、片方は意識が飛んでいてもう片方は意識は保っているものの疲労困憊で声が出ることはなかった。
それもそうであろう。この世界では捕虜に人道的な扱いなどない。捕虜に関する法律もなければ条約や協定もない。つまりただの物である。自陣まで徒歩で連行させ、止まるものがいれば鞭で叩いたりやり先で背中を軽く刺して無理やり歩かせる。他にも殴るけるなんかは普通である。そんな扱いを受けたのだから意識が飛んでいるのも疲労困憊なのも当然であろう。
ピニャはそれを考えただけで身震いした。彼女は今回の件で条約を破棄されるのではないかと恐れたのだ。いまこうして座り込んでいる二人もイタリカ防衛線では一人で軽く100人並の働きをしている。そしてその後ろには一瞬で自分たちを滅ぼすことが出来る兵器を大量に保有しているロンディバルト軍がいる。彼らと戦えば結果は火を見るより明らかだ。
自分たちは全滅してそこから雪崩のように帝国をも巻き込み滅ぼしてしまうかもしれない。
ピニャは少し考えるとまた身震いした。今度は全身が震えている。
「姫様!何故我々をお叱りになるのですか!?納得のいく説明をしてくださいっ!」
ピニャはパナシュに言われると呟くように話し始めた。
盗賊によって劣勢に立たされていたピニャ達にペルシャール率いる第三偵察隊と第一航空騎兵団が加勢し、盗賊を一瞬で薙ぎ払った。
説明が終わるとボーゼスとパナシュはようやく自分たちが何をしてしまったのかを理解した。そして直後に身震いした。ピニャと同様全身がである。
ピニャはそんな二人を部屋から退出させ、ペルシャールとシェーンコップの両名を客室へ運ばせると今後の事について考え始めた。
「結んだその日に条約破りとは・・・」
ピニャは玉座に座ると頭を抱え込んで必死に考えた。
「これを口実に戦争を吹っかけるというのが帝国の常套手段ではありますが、彼等が同じことをしないとも限りませんな」
二人を見送ったグレイがピニャに話しかけた。
「そうなったら滅ぶのは我らだ・・」
「ですが幸いなことに此度は死人が出ておりませぬ。ここは素直に謝罪されてみては如何でしょう?
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