第61話 造反
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って来た。と同時に、女の口からは呻き声のような野犬が敵を威嚇するような声を漏らし始めた。
いつの間には、武市と天草の呪文がリンクしていた。すると、女は白目を剥き、苦しげで悲鳴のような声を上げると口から蜘蛛の糸のようなものを吐き出した。
それは、女の体を徐々に覆いつくし、一個の巨大な繭玉のようになっていった。
「さぁ、蘇るのです。わが秘術・魔界転生によって!!出でよ、サタン。出でよ、沖田総司!!」
武市が大声で叫ぶと繭玉はぷるぷると震えだした。西郷は恐怖のあまり声も出せず、動くこともできず、目を大きく見開いていた。
繭玉が徐々に割れ始めると全裸の女が姿を現した。
女は微笑んでいるかのような表情をしていたが、腕が取れ、顔が崩れ、乳房が解けるように落ち、原型がわからなくなるように崩れて去っていった。そして、一人の美しい男が裸のままで現れた。
「さぁ、目を覚ますのだ。沖田総司」
武市は大声で叫んだ。その沖田と呼ばれた男は徐々に目を見開きだした。
「そこまでぜよ、武市さ」
その声が聞こえたと同時に、後頭部に固いものを押し付けられたような気が武市に感じられた。
「なんの真似だ、龍馬?」
武市は眼だけを後ろに向けるように龍馬を見つめた。と同時に、天草も立ち上がろうとしていた。
「おっと、動くなよ、天草」
天草には太刀を振り上げた格好で龍馬は言った。
「武市さ。あんたの役目はもう終わりじゃろ?」
武市の後頭部に当てているのは龍馬の拳銃だった。
「役目が終わったじゃと?何を馬鹿なことを言っておる」
武市は龍馬が隙を作るのを待った。
「知っとるよ、武市さ」
龍馬はにやりと笑った。その時、天草が中腰に立ち上がろうとしていた。
「動くなといっちゅ」
龍馬は大刀を天草ののど元に狙いを定めた。
「さて、武市さ。なぜ、わしがそう思うか言ちゃろうか。それは、おまんも武道家じゃということぜよ」
龍馬は淡々とした口調で武市に語りだした。
「フフフ。龍馬よ。おまんはなんか勘違いしとるよ。わしはもう武道家でもなんでもないぜよ」
武市は内心を悟られないように冷静な口調で龍馬に言った。だが、その反面、龍馬の言った言葉により動揺していた。
「じゃあ、聞くが武市さ。あと誰と誰と誰を転生させるつもりぜよ?」
確かに剣豪・武道家、名だたるものはこの幕末にもいることだろう。今いる、西郷もその一人だ。
「おまんに答える義理はない」
武市はじっと待った龍馬の隙を。だが、まったく隙がみあたらなかった。あったとしたら、天草が動いた時だったが、時すでに遅し。
「さて、武市さ。そろそろ、逝く時間ぜよ。これからの時代、化けもんは不要じゃきに」
龍馬は、トリガーの指に力を込め始めた。
「ふざくんな、龍馬。おまんもばけもんじゃ
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