美の四心《ビー・テイフル・ハート》との邂逅
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きた。
(唇が欲しいって……ま、まさか!?)
答えを悟り、戦慄くテイルレッド。
恐ろしいその答えは―――彼女の口からではなく、通信越しに聞こえてきた。
『アンタまさか唇が欲しいって、 “型を取る” って意味だったのぉ!?』
『……いっぱい唇、浮いてる……キモイ』
『《アア、キモイナ。超キモイ、っていうかキメェ》』
そう―――銅板には宛ら魚拓のように、唇の型が刻印されているのだ。
彼等アルティメギルのエレメリアンはその性質上、直接肌に触れたりと言う機会はめったになく、あっても属性的に止むをえずと言った場合で、無暗に接触しない点では信頼に値すると言って良い。
が、変態的思考は天井知らず。
まさか無数の唇が宙に浮いていると言う、ホラー映画もかくやの装いを醸し出す光景を至福に感じるとは、流石に予想できなかっただろう。
「近くまで行けば、スキャンできますからね〜。大人しくしててくださいね。テイルレッドさん」
中に浮遊する無数のキスマーク相手では戦意が保ちづらいのか、テイルレッドの顔が二重の意味で青くなる。
『あー!? 私のコレクションが次々壊されていく!? 次いで属性力が食べられていくぅ!? な、何とも無慈悲な少女達……本当に血が通って居るのですかな!?』
『《少なくとも相棒には通ってねェヨ》』
(まあエレメリアンだしなぁ……)
そんな怪談真っただ中な状況ながら、やっぱり向こうは有利なご様子。
追加でラースが尤もな台詞を吐いた。
兎も角有利なのには変わりなく、彼女等の奮戦に勇気づけられたテイルレッドは、ブレイザーブレイドを正眼に構えた。
イエローも両拳を腰にやり、全武装を発射態勢に切り替えた。
「……え?」
もう一度言う―――『全武装』を発射態勢に切り替えた。
即ち、完全脱衣モードという激しくルビと元が合っていない、全重火器発射態勢に入った訳で……
「我慢できません……っ……もう我慢出来ませんわぁああぁぁぁーーーっ!!」
「えあちょまだめ何やっておわあああぁぁああぁぁぁぁあああぁーーーっ!?」
テイルレッド最後の背遠くもむなしく、ロックもせずに見境なく銃弾も徹甲弾も斬裂弾も何もかもを撒き散らし始めた。問答無用でテイルレッドが吹き飛ばされた。
オマケに砂地だからか、ツインテールでの体勢固定も利かない。
連発式打ち上げ花火を転がしたが如く、明後日の方向に何発も何発もすっ飛んでいく。
もう敵を排除したいんだか、味方を巻き込みたいんだか、ただ脱ぎたいんだか解らない。
絶望に暮れる間もなく、テイルレッドの眼前へ無慈悲な砲撃が殺到した……。
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