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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第533話】
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泣き叫ぶ私、織斑一夏の唇が重なる前に聞こえてきた言葉。


「……美冬に無断で手を出す馬鹿は、俺が倒してやる……!!」


 その言葉と共に情け容赦なく拳が顔面にめり込む、勢いよく吹き飛ばされ、私は床に激しく尻餅をついた。


「美冬、危なかったな。 痛むか?」

「お、にいちゃん……。 ううん、大丈夫だよ」


 何で一時とはいえ忘れていたんだろう――昔から大好きだった兄の顔を、小さい頃から美冬に向けてくれる優しい笑顔を今向けてくれて、きゅんっと胸が高鳴る。

 頭に掛かっていた靄が一気に晴れ、偽物の記憶は全て本物に入れ替わる――そんな奇妙な感覚。

 吹き飛ばされた織斑一夏を見ると、目の色が明らかに異形の色へと変わっていて、小さな悲鳴が美冬から漏れた――だが。


「美冬、大丈夫だ。 ……俺が居るからな」

「……ぅん」


 お兄ちゃんの言葉に、美冬はいつも安心させられる。

 世間では美冬の方が凄い等といわれているが、美冬から見ればお兄ちゃんの方が圧倒的に凄く感じる、贔屓目とかじゃなく純粋に……。

 立ち上がった偽者の織斑君がお兄ちゃんに襲い掛かる。


「ミフユハオレノイモウトダ!」

「ちっ! 何が妹だよ!! ならお前はどれだけ知ってるっていうんだ!」

「ミフユハシタギヲセンタクキニイレッパナシ――」

「馬鹿か! うちはちゃんと男性用と女性用で分けてるんだよ!! やっぱり偽者じゃねえか!!」


 そんな恥ずかしいやり取りに耳まで赤くなる私、殴り合いが続き、美冬の内心はハラハラしていた。

 お兄ちゃんの喧嘩する姿を見たのが初めてだったからだ、確かに喧嘩自体はあれど、美冬の前ではこれまで一度もなかった。

 心の中で私は願う、お兄ちゃん、負けないでと。


「オレハニセモノジャナイ、ニセモノハオマエダ」

「馬鹿野郎! 偽者も何も、美冬の兄は俺しか居ないんだよ!! 今も昔も、そして――これからもだ!!」


 お兄ちゃんの言葉一つ一つが美冬をドキドキさせる――兄と結ばれるのは禁忌だとしても、もう美冬は迷わない。


「お兄ちゃん! 偽者織斑君何か、倒しちゃって!!」


 自然と声高く応援する、それに応える様にお兄ちゃんは怒涛の攻撃を繰り出した。

 最後の一撃が偽者の腹にめり込む――身体は粒子となって四散していき、残されたのは美冬とお兄ちゃんの二人だけだった。


「遅くなってすまなかったな、美冬」

「……ううん。 大丈夫だよ、美冬はお兄ちゃんがいくら遅れても待ってるもん」


 小さく舌を出し、私はギュッとお兄ちゃんに抱き着く。


「……どうした、美冬?」

「えへへ、二人きりだから…
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