第十二話 転進
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執務室にて、提督のモノローグ――。
ぎりぎり間に合ったか。(安堵)
横須賀から緊急に軍用機に積み込んで飛ばさせた特別な新型蘇生薬が何とか間に合ったようだ。危なかった。後1時間も遅れていたら、命がなかったんだそうだ。俺は初めて神様に感謝した。まぁ、いればの話だが。だが、翔鶴を生き返らせてくれたんだから、たぶんいるんだろう。日向からの報告を聞いてほっとしたのは俺だけじゃなかった。鳳翔も赤城も加賀も留守部隊のみんなが歓喜の渦の中に入っちまったようだ。おいおい、頼むから防空や哨戒任務をおろそかにしてくれるなよ。まぁ、無理もないか。
翔鶴の看護に瑞鶴を残すことにした。当分経過を見守ることとリハビリが必要だからだ。当然介護人がいる。それには気心のしれた妹が一番だからな。
ほっとしたのも束の間、軍令部から正式に動員指令が来た。麾下の精鋭一個艦隊を横須賀鎮守府に回航させ、連合艦隊指揮下に配属させるとのお達しが軍令部総長及び連合艦隊司令長官の連署で俺のところに来た。まったくもって憂鬱だ。
ご丁寧にわざわざ艦種の指定までついてきた。最低空母を2人よこせと。まったく、横須賀には空母がいないのか?(憤激)いるだろうが。なんで俺のところから引き抜くんだ?
向こうも俺のもとに配属されている艦娘の一覧をすっかり知っているから、手を抜いたりごまかしたりはできない。仕方がない。翔鶴瑞鶴はこんな状態だから動かすことはできない。となると、必然的に候補は絞られる。鳳翔は駄目だ。秘書艦として鎮守府の運営に当たってもらわなくちゃならない。
栄光の一航戦の双璧の二人を向かわせるのは寂しいものだが、仕方がないな。後4人については、気心の知れた榛名と霧島、そして駆逐艦からは夕立を向かわせよう。俺ができることは精一杯してやらなくちゃな。後で鳳翔に相談だ。
そして、もう一人わざわざご指名が付いていた。他ならない紀伊の奴だ。紀伊だけじゃなく、どうやら各鎮守府に配属されている紀伊の妹たちもまわされるらしい。
俺はそっちの方が心配だった。奴は色々と気を使うタイプだから、あっちで苦労したりしなければいいんだけれどな。
瑞鶴と翔鶴を欠いた第七艦隊と第三艦隊は佐世保鎮守府埠頭洋上にて集まった佐世保鎮守府所属艦娘たちと別れを告げていた。
「本当にお世話になったわ。瑞鶴と翔鶴の事お願いするね。」
伊勢が代表していうと、扶桑はいつものほんわりとした笑顔を浮かべながら、
「そんなことはありません。こちらこそいろいろとお世話になりました。またいつでも来てくださいね。瑞鶴さんと翔鶴さんのことはお任せください。こちらでゆっくりしていただいて、万全になり次第お知らせします。」
瑞鶴と翔鶴への別れは病室ですでに済ませてあった。翔鶴は起き上がれるようにはなったが、まだまだ安静にしていなくてはな
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