第十二話 転進
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あそこは西太平洋上の要衝ですが、南西諸島方面とはかけ離れています。」
赤城の言葉は皆の思いを代表していた。
前世では沖ノ島は九州西に位置する島の名前だったが、この時代ではそれがない。代わりに前世硫黄島の位置にあった島を沖ノ島と呼んでいる。沖ノ島と言えば、皆小笠原諸島南端の小島のことを思い浮かべるのだ。
「私も指令書を拝見しましたが、軍令部は詳細を明記していません。しかし、提督のお考えではヤマトは南西諸島はあくまで『海上輸送路の抑え』として維持し、全戦力を上げてノース・ステイトとの通信を回復する方針を取ったのではないか、ということです。」
ノースステイト?というざわめきが再び会議室を包んだ。
「ノース・ステイトってどんな国だったっけ?」
鈴谷が熊野に聞いた。
「あら、今更ですわね。ノース・ステイトは太平洋東に位置する強大な国家ですわ。人口、経済力、保有資源、そして軍事力にかけては世界で一、二を争うレベルですもの。ヤマトにとってノース・ステイト以上の同盟国はありませんことよ。」
ヤマトの西側には広大な大陸があり、シーアンという通商連合国家が存在するが、その国家の海軍力では深海棲艦を撃滅するどころか、広大な自国の領海を防衛するので手一杯という状況であるため、ヤマトはシーアンとヤマトとの間の海域を舞鶴鎮守府に防衛させることで、シーアン通商連合から様々な物資を供給してもらっている。
「そして、深海棲艦の奴らが出現する前には、ヤマトはノース・ステイトと同盟を結んでおったのじゃ。ところが深海棲艦の奴らが太平洋ラインや通信網を封鎖してからというもの、互いの連絡すらままならぬ状況なのじゃ。まぁ、極端なことを言えば相手方が生きているのかどうかすらわからんということじゃな。」
「なるほどねぇ。だからこのノース・ステイトと連合さえできれば、深海棲艦撃滅に向けて大きく前進するってことね。」
鈴谷の納得のつぶやきを受けて鳳翔はうなずいた。
「ということは、ここからは文字通り自分たちの運命を切り開く戦いじゃの。つまり、今までのように生きて帰ってくることもないのかもしれんな・・・・。」
はっと赤城が身じろぎしたのが加賀の眼の端に移った。
「そういうことです。これからの作戦は遠くそして困難なものになるでしょう。」
一同はしんと静まり返っている。
「そして、ヤマト軍令部からの指令では各鎮守府から精鋭一個艦隊を連合艦隊司令部指揮下に置くようにとありました。」
「一個艦隊を連合艦隊司令部に、ですか?」
筑摩が当惑したように尋ねた。
「はい。そして各艦隊の欠員を補う形でそれぞれに基地航空隊が配属されます。もっともシーアン通商連合との約定がある舞鶴鎮守府については、一個艦隊ではなくあらかじめ指定された数人のみが派遣されるとのことです。彼女たちは補給
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