第十二話 転進
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らず、したがって瑞鶴も翔鶴のそばから離れられなかったからである。
「お願いします。」
榛名と紀伊が頭を下げた。
「姉様、せっかくお会いできたのに、また離れ離れですね。」
讃岐が寂しそうに紀伊を見ている。
「大丈夫。きっとまたすぐに会えるわ。それに提督にお願いして文通ができるようにしてもらおうと思っているから。」
「本当ですか!?はい!!私も提督に絶対絶対ぜ〜〜〜ったいにお願いして許可してもらいますから!!約束ですよ!!」
紀伊はうなずいた。
「じゃあ、みんないい?そろそろ出発するよ。」
伊勢が促した。皆が一斉に埠頭から出発するのを佐世保鎮守府の艦娘たちは手を振っていつまでも見送っていた。第七艦隊と第三艦隊の面々ももう一度振り返ると大きく手を振り、一路呉鎮守府への帰還の旅についた。
「瑞鶴さん本当によかったですね。こちらまで嬉しくなりました。」
榛名が紀伊に話しかけた。
「はい。今日あたりから徐々に食べ物も口にできるようになりましたし、瑞鶴さんがいらっしゃるのですから、すぐにきっとよくなりますよね。」
紀伊は病室での瑞鶴との会話を思い出していた。姉のベッドに寄り添うようにして立ちながら紀伊と榛名たちに何度もすまなそうに謝っていた。勝手なことばかり言ってごめんなさい、と。翔鶴もそうだった。そんな二人に榛名と紀伊たちは、自分たちのことはいいから早く良くなって、とエールを繰り返し送り、病室を後にしてきた。
「ええ。でも残念です。」
「何がですか?」
「お二人が帰ってくるころには呉鎮守府さくら祭り、終わっていますから・・・・。」
せっかく練習を一緒にしてきたのですが、と榛名は残念そうだった。
「あの、そのことですけれど、前にも言いましたが、私もお手伝いしてもいいですか?」
「はい!紀伊さんがいらっしゃることが、榛名にとって心強いですから、ぜひお願いします。」
「私はあまりお役に立てないかもしれません。」
「そんなことはありません。お二人がきけなくて悔しがるような演奏、皆に聞かせましょうね。」
榛名のほんの少しだけ悪戯っぽそうな笑みに誘われて、紀伊は笑ってうなずいていた。
一方、呉鎮守府会議室では鳳翔が主だった留守艦娘たちを集めて会議を開いていた。
「ヤマト軍令部からの新たに作戦指令につき、それを検討してくれないか、との提督からの依頼がありました。」
「どのような作戦ですか?南西諸島方面への進出ですか?」
と、赤城。
「いえ、違います。ヤマト海軍軍令部は・・・・・。」
鳳翔は確かめるようにもう一度手元の書類を見てから顔を上げた。
「ヤマト海軍軍令部は沖ノ島攻略作戦を発動しました。」
この言葉に艦娘たちはざわざわとさざ波のような反応をした。
「沖ノ島ですか?なぜそのようなところを。
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