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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#7
戦慄の侵入者U 〜Parasite Green〜
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太郎は言った。 
 なのに、今になって何故?
 目の前の少女を “攻撃する事自体” が嫌なのか?
 だったら、その理由は何だ?
 そして。
“なんで自分はその事にこんなに苛立っている?”
 どうして承太郎の言葉なんか無視して、さっさと封絶を起こさない?
「うぐ……!! おおおぉ……ッッ!!」
 承太郎の瞼の裏に冷たい金属の感触が混ざってきた。
 目元から流れる血が口に入って錆びた味が口の中に広がる。
 鍛え抜かれた膂力(りょりょく)を脈動させてなんとか引き離そうと試みるが、
吉田 一美の力はソレに対抗するように強まるばかりだ。
 スタンドによって無理矢理限界以上の力を引き絞られている為、
少女の華奢な身体から関節と筋繊維の軋む音が聞こえてくる。
 このままでは、自分の身同様、彼女の身体もまた持たない。 
(!)
 血に染まる視界、自分に同化するようにして存在する
スタープラチナの「眼」がある変化を捉えた。
 眼前の少女の頬を、返り血ではない透明な雫が伝っていた。
 虹彩を失った無機質な瞳から、涙が止めどなく流れていた。
 幾筋も。幾筋も。 
 意識があるのかどうかまでは解らない。
 だが少女は、泣いていた。
 自分の眼の前で、泣いていた。
(……)
 腕に力は籠もったままだったが、鬼気迫る表情だった承太郎の目つきが
ふと穏やかなものに変わる。
 そのライトグリーンの瞳に浮かんだ色は、
包み込むように強く暖かなものだった。
(なるほど……な……解るぜ……気持ちはよ……
あんなゲス野郎にいいように使われてるんじゃあな……
「逆」 の立場だったらオレだって泣きたくなるぜ……
まってな……今……おまえの中にいるスタンドを……
このオレが引きづり出してやるぜ……ッ!)
「ぐ……! おおおおおおおおおおおお!!」
 強い決意と共に承太郎は再び鋭い目つきに戻ると
血塗れのシャープペンから身を引くのを止め、
そして眼球が傷つかないよう角度を計算して
“自分から” 下向きに強く押し込んで引き絞るような苦痛を噛み殺し
シャープペンの先端を固定すると、瞬時に「覚悟」を決め
勢いよくその顔を横に逸らした。
 ヴチィィッッ!!
 耳障りな音がして、肉を抉りながらシャープペンの軌道が
鮮血と共に赤い弧を描いて逸れる。
「!!」
 思いつきはしても自分では絶対に取らない選択を承太郎が突如実行した事に
シャナは驚愕しその紅い双眸を瞠る。
(どうして……そこまで……! 何で……そんな事が出来るの……ッ!?)
 シャナが考えをまとめる間もなく、承太郎は瞬時に次の行動に移った。
 その 「行動」 は。
 あらゆる意味でシャナを完全に裏切った。
『オッッッッッラァァァァァァァ―――――――――ッ
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