第十一話 それぞれの思い。
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から、心配したのよ。でも、疲れていると思ったから、妖精さんたちにそっとしておいてもらうように頼んだの。」
瑞鶴はわなわなとこぶしを握りしめていた。
「夢なの・・・・?嫌・・・・夢なら・・・・もう嫌・・・・!」
「夢じゃないわ。現実よ。」
翔鶴は瑞鶴の手を取った。その手はまだ冷たかったけれど、確かに熱い血の流れと鼓動がしっかりと感じ取れていた。
「ね?」
「・・・・・・・。」
「あなたの声はずっと聞こえていました。夢の中でずっと私を呼び続けてくれていたあなたの声のおかげで、私はこうしてあなたに会えたのだわ。」
「翔鶴姉・・・・。」
乾いた声で瑞鶴は姉の名を呼んだ。
「なに?」
「翔鶴姉・・・翔鶴姉・・・翔鶴姉!!!」
もう次の瞬間には、わあっと嗚咽と共に瑞鶴が翔鶴の胸に顔をうずめて泣きじゃくっていた。
「よかった・・・よかった・・・よかった・・・・!!夢だったんだ・・・・!!よかった・・・・よかった・・・・よかった・・・・!!」
ぎゅうっと力いっぱい姉を抱きしめながら瑞鶴は泣き続けていた。翔鶴が優しく目を細めながら妹を撫で始めた時、ドアが開いた。伊勢、日向、榛名、紀伊が入ってきて、二人の姿を見て息をのみ、やがてその意味を理解した。
「日向、さっそく提督に打電よ。急いでね。」
伊勢が促した。
「言われるまでもない、すぐにやるさ。」
日向があわただしく部屋を出ていき、伊勢もみんなに報告してくるからと、部屋を飛び出していった。残された後の二人は抱き合う姉妹をみて胸が一杯になっていた。
「よかった・・・・本当に、よかった・・・・。」
榛名があふれる涙を目からぬぐい、紀伊もいつの間にかぽろぽろと涙を流していた。
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