第十一話 それぞれの思い。
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い表現ですわね。」
御見舞品を持ってきていた最上と三隈が顔を見合わせた。
「でも、そういうところが山城さんらしいとも思うな。自分の体を張って大切な人を護るって、とっても素敵だと思う。」
「本当ですわ、わたくしも見習いませんと。これからはこの三隈がモガミンをお守りしますわね。ええ・・・衝突なんてもってのほかですわ。」
「だから、そのモガミンっていうのはやめてくれないかなぁ・・・。」
最上が当惑したように頬を掻いた。
海から来る穏やかな風を受けながらテラスに座ってお茶を飲んでいる4人がいた。
「こうしてゆっくりするのはいったいいつ以来かしらね?ずうっと任務任務の繰り返しで、休む暇もなかったような気がするわ。」
ビスマルクがカップをソーサーに戻しながら言った。
「姉様もたまにはこうして休んでもらわないと。」
「本当ならおっきなジョッキにドイツビールを一杯、それにソーセージ、ポテト、そしてザワークラウトが食べたいんだけれどな。」
「駄ぁ目ですよ、姉様。もう明日には呉鎮守府に帰らないといけないんですから。」
プリンツ・オイゲンが注意した。
「わかっているわ。留守にできないのだから。でも、榛名残念ね。せっかく霧島と会えたのにあまり話もできていないんじゃない。私たち、邪魔じゃない?」
「いいえ、さっき色々と話ができました。とても楽しかったです。ありがとうございました。」
榛名はにっこりした。
「ええ。水入らずの時間、ありがとうございました。」
「そんなお礼を言うこともないわよ。皆そこかしこでやっているもの。それがいいわ。今回の作戦は・・・・・一応は終わったけれど、次の作戦でいつだれが怪我したり、死んでしまうかもわからないし、それに今も・・・・。」
4人は黙り込んだ。こうして海戦はおわり、4人は生きて戻ることができたが、一人まだ意識が戻らず生死の境をさまよっている。
「や、やだなぁ姉様。大丈夫です!大丈夫!翔鶴さんはきっと助かります。絶対に!」
「私たちにできることは・・・あとは祈ることだけなのよね。」
ビスマルクはそっとテーブルの上に両手を組み合わせると、額を押し付けて祈り始めた。榛名と霧島、そしてプリンツ・オイゲンはそんなビスマルクを驚いたように見たが、3人もやがて彼女に習った。
3日後の午後――。
南西諸島攻略作戦で受けた損傷もほぼ回復した呉鎮守府派遣艦隊はいよいよ明日に呉鎮守府に帰投することとなった。伊勢は派遣されていた全艦娘を作戦会議室に招集した。比較的損傷がなかった鎮守府護衛艦隊は一足先に呉に帰投していたのでこの場にはいない。だが、後二人姿が見えない。一人は翔鶴、そしてもう一人は瑞鶴だった。
「あれからほとんどずうっと病室にこもりっきりなのかもしれません。夜は宿舎に帰ってきている
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