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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第十一話 それぞれの思い。
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額を押し付けた。そして悲痛な思いで祈り続けた。
(お願い、翔鶴姉!!目を覚まして。私を一人にしないで!!!)



「伊勢は心配性だな。もう大丈夫だというのに。」
日向が伊勢から受け取った大ぶりの湯飲みに口をつけながら言った。
「骨が折れてるのに大丈夫も何もないでしょう。ホント、心配だったんだから。よく生きて帰れたって思うよ。」
「知ってるだろ?私も伊勢も悪運が強いのさ。」
「前世ではね。でも、ここはもう前世じゃないしさ。そもそも前世だって、最後は身動きできずに一方的に敵機に攻撃されて着底したんだもの。」
「あれは燃料切れで動けなかったからだ。不可抗力というやつさ。」
「まぁ、そういわれればそうか。」
伊勢は自分も湯飲みを取って飲んだ。
「そういえば、こうやって二人っきりで話すことなんて久しぶりね。」
「そうか?」
「そうよ。いつもは作戦やらなんやらでバタバタッってあわただしくて。たまに話すことと言えば、いつも日向のお説教。グータラな姉に対してのね。でも、私はそんなにグータラしているつもりはないんだけれどな。」
「本人より周りの方がわかっていることだってあるが・・・・、でも、そうだな。こうして話すことはとても久しぶりだ。なんだか・・・・いいな。」
「まぁ、なんだかんだ言っても、姉妹だからね。日向・・・・。」
「なに?」
「どうしてあの時私をかばったの?」
日向が被弾したのは、伊勢に向けられた敵戦艦の主砲をとっさにかばったためだった。どうしてそんなことをしたのか、伊勢はずっと聞きたくて我慢していたのだ。
「さぁ・・・よくわからないし、たぶん理由もない。体が勝手に前に出ただけだよ。」
日向は手にしていた湯飲みをおき、少し窓の外に視線をずらした。
「理由なんていらないんじゃないか?大切な人を護るのに、いちいち理由を考えてなくちゃならないのか?それはとても煩わしいことだ。」
伊勢はふっと相好を崩した。
「そっか。なるほどね。」
伊勢はそっと日向の上の毛布を整えてやった。
「少し休みなさい。何も考えず、ぐっすり眠るのね。私も本を読みながら、しばらくここにいるから。」
「姉様きどりだな。こういう時には。」
そういいながら日向は体を横たえ、毛布を首元までかぶり、目を閉じた。


「姉様、本当にごめんなさい。」
山城がうるんだ目を扶桑に向けていた。
「私が足手まといだったばっかりに、姉様にこんなにご心配をおかけして・・・・・。」
「いいのよ山城、私をかばってくれてありがとう。とても痛かったでしょうに、皆を護って最後までよく戦ってくれたわね。」
「姉様・・・・。」
山城が泣き出しそうな目をしている。
「というか、あれだよね、山城さんが勝手に扶桑さんの前面に出て来て勝手に被弾したっていうのが」
「正し
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