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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第532話】
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そう過る――世界がぐるっと回る、だがそのまま投げられる俺ではなく、しなやかに体勢を整えると返しと謂わんばかりに豪快な一本背負いを叩き込む。


「が、はぁっ!?」


 激しく背中から叩き付けられた偽者一夏は苦しそうに咳き込んだ――これまでの偽者一夏の方が圧倒的に強かったのだが、この一夏はそれほど驚異に感じなかった。

 いや、寧ろ速さがあるだけで他は弱い方だった。

 激しく咳き込む偽者、瞳は偽者を示す黒と金へと変わっていた――試合はまだ続き、足元がお留守になっていた俺の足を払う一夏。

 体勢を崩す中、片手で全体重を支えて後方宙返りで間合いを取る――。


「うぉぉおおおっ!」

「……!」


 原始的に殴りかかる一夏の一撃が僅かに頬を掠める――そのまま腕を取ると、またも俺は一本背負いで投げ飛ばした。

 動きの単調さまで本物に似せなくてもと思うほど、行動の先読みが出来る偽者の一夏。

 ギリッと歯を食い縛り、一夏は立ち上がるや――。


「もう一回だ!」


 そう叫ぶや、直ぐ様襟首をとる一夏だが、俺は一夏の足を払い、体勢を崩させると首筋に手刀を当て、いつか楯無さんがした様に首筋に沿って切る仕草を見せた。

 実力差は歴然だった、というより……この世界の一夏が弱すぎる。

 だがそれでも負けじと立ち上がる一夏に、痺れを切らした篠ノ之が叫ぶ。


「両者そこまでだ! ……一夏には悪いが、明らかに有坂の勝ちだ。 これ以上の試合は私の判断で無意味だと感じた」

「……ッ!」

「……付き合う云々の話は今はいい。 ……わ、私自身も今は……わからないのだ、一夏は幼なじみ――だが、有坂は……私が露骨にあしらっても私を常に気にかけてくれていた……」


 ぎゅっと握り拳を作り、目蓋を閉じる篠ノ之――。


「もう私は、意地をはりたくないのだ……本当は有坂とも、ずっと仲良くしたかった。 一夏も、私を気にかけてくれていたが、その優しさは全方位に向けられた表面上での優しさにも感じる時が――」


 言葉の最中、脳裏に響き渡る少女の声。


『ワールド・パージ、介入開始』


「……ッ!?」


 頭を抱え始めた篠ノ之――それと同時に、項垂れていた偽者一夏は立ち上がるや、篠ノ之に近づこうとしていた。


「……何をする気だ、偽者」

「……ホウキ、オカス。 オレイガイノオトコ、カンガエラレナクスル」

「……それを聞いてハイそうですかって見逃すわけにはいかないな」


 その言葉を合図に、また試合が再開される――先ほどとは違い、更にスペックアップを果たした偽者の一撃は非常に重たかった。

 ミシミシと軋む骨の音――気合いを入れ直すと
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