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俺の四畳半が最近安らげない件
諸葛家の災厄〜小さいおじさんシリーズ9
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る。
「私が何処からか様子を伺っていたことも、兄上は察していたことでしょう」
白頭巾ほどのキレ者感はないが、云われる程ロバに似ているわけでもない。顔はまぁ…長めではあるけれど。そんなことをぼんやり考えながら机上に残った諸葛瑾を眺めていると、不意に彼と目が合った。
「うわっ…」
思わず声が出た。いかんいかん、俺は居ないことになっているのだ。…しかし意外にも彼はすっと立ち上がり俺に向き直ると、深く頭を下げた。


「………ご迷惑を」


えっ、それは今日の件?あんたの弟にゴディバ強奪された件?それともあんたの弟に毎日のように茶菓子やら寝床やらに遠回しに文句つけられる件?それともあんたの弟に…
とか考えてまごまごしているうちに、諸葛瑾は他の白装束と同じように襖に消えた。



―――常識人じゃん。



この兄はきっと毎月こうして、出たくもない変な会合に参加して、彼らが暴走しないように目付役を勤めているのだろう。生前もこうやって、この濃ゆい一族の尻ぬぐいに努めてきたのか。…なんか涙が出てきた。
「この飽食の現代に何を好きこのんで蕪など茶受けにしましょうか。…最近、ブルボンの備蓄が減っているようではありますけどね…まだルマンドは、ありますでしょうか…」
諸葛瑾が消えた途端、ハンカチをまくって白頭巾がひょっこり現れた。…てめぇ俺があの人の苦労を慮って涙しているときにのこのこ出てきて、あまつさえ菓子の備蓄に文句つけるとかもうな。
「なんか…卿、今日はその、な」
妙に空気を読む端正が、こっちをちらちら見ながら白頭巾をなだめにかかるが、奴は聞いちゃいない。勝手に棚をがさごそいじってルマンドを引っ張り出して豪傑嫁を召喚して…まさに今日もやりたい放題、典型的な次男坊の所業だ。かつての諸葛瑾の苦労が偲ばれる。


諸葛瑾の魂に安らぎあれ。そう願わずにはいられない。

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