諸葛家の災厄〜小さいおじさんシリーズ9
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諸葛菜などと呼んでいるようですが、蕪は蒔いてすぐ収穫出来るから兵糧として重宝していただけで、云われる程好きだった訳ではありません。大体、あれを蒔いて育つまで粘らなければいけないような長期遠征、元々内政向きだった私が好きなわけがないでしょう」
むしろ、蕪には嫌な思い出しかありませんよ。と、地を這うようなというか、怨念の籠った声がした。…ゴメン、俺もこいつ蕪好きなのかと思って蕪漬け頻繁に出してたわ。
「大体何ですか、云うに事欠いて天ぷらとかハチミツ掛けとか。気持ち悪すぎて逆に興味深いですよ」
…こいつ来月の会合も物陰から様子を伺うな絶対。
「卿もなぁ…居るなら出てくればよいではないか。やり方はともかく、奴らは卿が大好きなのだろう?」
「誰が?…さっきから遠回しに私をちょこちょこ小馬鹿にしていた諸葛恪が?」
「…いや、その」
「それとも私の方は存在すら知らなかった諸葛誕が?」
「やっぱりそうなのか!?」
豪勢が叫んだ。
「どうもあいつの中の貴様と実際の貴様に齟齬がありすぎると思っていたのだ!会ったことないよな!?」
「―――毎月毎月、意味不明な招待状に悩まされ、何やってんのかと様子だけ伺いに来てみれば…あれに参加させられたとして、どんな顔すれば良いのでしょうねぇ、私は」
本当それだよ。一族郎党集められて、自分を称える変な歌聞かされて、顔も知らない連中に褒め殺されるとか何の罰ゲームか。あいつらこの会合に白頭巾招待して何をしたかったんだろう。
「貴様ら一族が節操もなくあっちこっちに散らばって士官するからややこしい事になったのだろうが、たわけが。夏候んとこみたいにきちっと纏まっとけばな」
「何処かの奸雄が御父上の敵討ちに徐州を焼き討ちしたお陰でしょうかね、我々が故郷の地を離れ、全国に散らざるを得なかったのは」
「ぐぬ……」
―――元凶はお前かよ、豪勢。
「むしろ散ってもらって幸いだ。卿といいあの糞がきといい、あの魏の狂信者といい、卿の一族はアクの強い奴が多すぎる。一か所に纏まると…ほれ、あの会合みたいな妙なことになるのだ」
「同意いたします…あんなこと毎月近所でやられたら1年経たずに発狂するところです。特に、彼です」
「諸葛恪だな?」
「ほんそれ。近所にいたらもう…全精力を動員して私への嫌がらせに勤しむでしょうね。お互いこんな身の上になってまで、月イチでこんな嫌がらせを繰り返すくらいですから」
「これやっぱり嫌がらせなのか!?」
「―――気が付いているのは兄上くらいでしょうけどね。陸遜殿に書簡で色々吹き込んだことを未だに根に持っているのですよ、あの小童は」
「卿も恨まれるだけの事はやらかしているのだな…」
あぁ…兄上って、無口に座り込んでいるだけのロバの人か。…今も炬燵の上でぼんやり座り込んで何かを考えてい
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