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俺の四畳半が最近安らげない件
諸葛家の災厄〜小さいおじさんシリーズ9
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を三々五々語り始めた。
「さあ皆、話すばかりではなく、彼の英雄が愛してやまなかった諸葛菜を大いに食べるがよい!!」
諸葛誕が蕪の煮物を取り分け始める。諸葛恪は露骨に顔をしかめた。こいつは蕪が好きではないらしい。
「しかし、蕪も煮るか漬けるかで、どうにもレパートリーに乏しいですな。彼の英雄もそれで集会に出たがらないのではないでしょうかねぇ。…もう少し、調理法を工夫してみては」
諸葛恪がまた、余計なことを云い始めた。
「そうですね、兄さん!現代の調理法に『揚げる』という方法があるらしいですよ!」
妙に目が綺麗な青年が立ち上がった。白頭巾から鋭さを目減りさせて陰険さを引っこ抜いたような男だ。
「喬か。揚げる、とは?」
「熱くした油に、小麦の粉をまとった食材を放り込んで香ばしく調理するのです。天ぷらというそうです」
「ほぅ…ならば蕪の天ぷらか!」
「そうだ、天ぷらだ!」
「成程、その手があったか!!」
「では私はハチミツを掛けてみよう」
「野の花と和えるというのは!?」
「おお、アイデアが広がるな!!」
相変わらず下で様子を伺っていた二人が、顔を見合わせた。
「……卿、蕪の天ぷらやハチミツ和えを食いたいか」
「天ぷらの具としてはメジャーではないな…ハチミツ和えはないわ」
次の会合は、蕪を使った珍料理大会になるようだ。…あの諸葛恪という男は、余計な事しかしないのか。



蕪の器が空になると、彼らは再び白頭巾の功績とか何とかを称えたり、変な歌を口ずさんだりしながら、そのうち一人、また一人と席を立ち、襖の奥に消えていった。…ほんと、何処につながってるんだうちの襖は。



やれやれ、とりあえずこれで変な集会に煩わされず安らかに眠れる。
「…あいつら月イチでこんなことやってんのか」
「何が楽しいのであろうな。俺の子孫も、おかしなイベントに関わっていなければよいが」
豪勢が、何かを思い出したかのようにくくくと笑った。
「諸葛の連中って実家大好きだよな…知っているか、諸葛一族の村ってまだあるらしいぞ」
「真か?このノリが2000年近く続いたのか?…筋金入りだな。とりあえず今度奴が現れたら彼の英雄を称える歌とやらを斉唱してやろうぞ」
端正がもう嬉しさを抑えきれないように唇を歪めた。今日一日だけで白頭巾をイジるネタが死ぬほど補充出来たことだろう。
「お、それいいな採用。余は所々『蕪大好き〜』に変えて歌うとするか!」


「好きじゃありませんよ、蕪なんて」


机上の白装束が諸葛瑾を残してあらかた消えたあたりで、何処からともなく声がした。
「む!?貴様いたのか!!」
「私が先にここに居たのです」
声は猫ちぐらの中から聞こえる。ぴったりと閉ざされたハンカチは、そよとも動かない。
「後世の者達はあれを
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