諸葛家の災厄〜小さいおじさんシリーズ9
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一国の主が戦乱のどさくさで美人を捕虜にしてそのまましれっと妻にするとかもう…」
他の奴らもどんどん乗っかり始めた。ぎりり…と端正の歯ぎしりが漏れた。
「諸葛恪…だな、顔覚えたぞ、あのクソガキ!」
おいおいお前がそんな事云ったら首脳陣総ヤンキー説を肯定することになっちゃうんじゃないか。
「あのくそつまらん連中の中では異彩を放つやんちゃっぷりじゃないか。臣下には御免だが。誰だあれは」
豪勢は自分以外の連中が虚仮にされている状況が愉快になってきたらしく、少し機嫌がいい。
「諸葛瑾んとこのガキだ。あいつ昔っから嫌いだったわ、もうほんっと生意気で空気読めなくて」
端正の存命中ということは、彼は10にも満たない幼児だった筈だが。云ってはなんだが、端正は意外と器が小さい。
「あぁ…奴が諸葛恪な。余も噂は聞いた事がある」
「噂?」
「あのクソ頭巾から、生真面目さを引っこ抜いて大雑把さと身勝手さを放り込み、悪賢さと傲慢さをパンプアップしたような人物だと」
「それもまた随分な云われようだな…」
端正が肩をすくめた。何だかんだ云っても呉の重臣だった男の悪評に、複雑な気分が沸いてきたのだろう。付き合いが長くなり、ある程度考えを読めるようになってきた。
「諸葛に関係のない話はそこまでですよ!!」
白頭巾をきゅっと小さくしたような生真面目そうな男が立ち上がった。諸葛恪が小さく舌打ちをする。
「大体なんですか。誇り高き諸葛の血脈の者が他人の悪口に興じるとは!」
30余りの白頭巾が、無言で揺らめいた。
「諸葛誕殿!!」「公休!!」「魏の狗!!」
あ、やっぱり諸葛誕かアレ。…ていうか魏の狗?悪口かな?
「おお、そうだ我々は一体なにを」
「あの方の業績を称賛する目的の会合だというのに」
「さあ皆、もう一度あの歌で彼を称えようではないか!!」
諸葛誕が琵琶に似たような形の謎の楽器をかき鳴らし始めると、おっさん達が蜀の臥龍〜、とか諸葛の輝ける巨星〜、とかぼそぼそ歌い始めた。流石あの白頭巾の一族というか…全体的にぼそぼそしている。諸葛恪は歌っているフリはしているが、口をぱくぱく動かしているだけだ。しかも時折「蕪大好き〜」とか絶対そうじゃない歌詞を勝手に入れ込んだりして遊んでいる。実のところ、こいつが根っこの部分は白頭巾に一番似ているような。
「……誇り高き血脈とやらの彼奴は、他人の悪口大好きだろうが。あいつら一体、何を見ているのやら」
端正がぼそりと呟いた。
「諸葛誕はなぁ…少し、思い込みが激しい所があるんだよなぁ…」
そもそもあいつ、もしかしたら…と呟きながら豪勢が顎に手をあてる。
しばらく我慢していると、彼の英雄を称える歌が終わった。終わると同時に彼らは白頭巾がいかに優れた軍師であったかみたいな話
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