諸葛家の災厄〜小さいおじさんシリーズ9
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彼のお気に入りの諸葛菜も豊富に用意しているというのに……」
「調理法が気に入らないのでは?」
「諸葛誕殿作詞作曲の『彼の英雄を称える歌』が気に食わなかったのだろうか」
「いや、我々の『丞相ルック』に気合が入っていなかったのかもしれない」
「頭巾の大きさがまちまちなのが気に入らないのか!」
「……うわぁ」
高台の下に潜む二人のどちらかが呟いた。二人とも、口をぽかんと開けて炬燵を見上げている。
「……丞相ルックって言ったか今」
端正が軽く眉間を押さえて呻くように云った。豪勢がごくり、と喉を鳴らした。
「なんだ『彼の英雄を称える歌』って。ちょっとした嫌がらせだな…」
「いや、本人たちはリスペクトのつもりだぞ…俺だったら5分で発狂するな」
そんな彼らの密談を知ってか知らずか、諸葛一族の集いはひたすら盛り上がる。
「徐州の戦乱で運悪く散り散りになった我らだったが…それぞれが魏、呉、蜀において皆頭角を現す、結果オーライな状況となった。中でも『彼』の蜀における功績は図り知れない!」
「おう、自らを伝説の軍師・管仲や楽毅になぞらえてニート生活を送っていたちょっとイタい過去をものともせず、周囲のいい人をうまいこと宣伝に利用する画期的な就職術で見事に軍師の地位を得てからの彼は目覚ましい!!」
「そこらへん正に管仲!」
「そうだ!」
「万歳!」
「丞相、万歳!!」
………うっわぁ……白頭巾、これ遠回しに馬鹿にされてないか……
「……まぁ、蜀における彼の大活躍のお陰で諸葛瑾は微妙な立ち位置になったわけだが……」
彼らの視線が諸葛瑾と呼ばれた男に集中した。諸葛瑾は気まずげに視線を落とす。
「それはそれは酷い目に。父は…腹いせに孫権殿にロバ呼ばわりされたり、何かにつけ蜀への使者にされて、結果手ぶらで返されたり」
手ぶらで帰らざるをえなかったのは彼の手腕では…
「なんと。ロバと」
「ロバはないですな」
「……そこまで酷い待遇だったわけでは」
諸葛瑾は、もごもご口ごもったが、呉の悪口で盛り上がり始めた子弟を止められず、結局元通り俯いた。…ていうか本人を目の前にロバロバ言うなや可哀想だろ。
「そもそも一国の王がロバに落書きして自分のとこの重臣をコケにするとか、どうなんですかね、あの国は!」
「これ、恪、やめんか」
諸葛瑾が、年若く車いすのような乗り物に座っている男を嗜める。こいつがさっきから諸葛亮を遠回しにディスる発言を繰り返している様子だ。
「首脳陣は総ヤンキー状態でしたな、今考えると」
「ヤンキー兄弟やら海賊軍団やら。周瑜殿も育ちはよかったが…小喬を手に入れた経緯など、もう完全にヤンキーの手口でございますねぇ…」
尚も舌鋒鋭く繰り広げられる呉への攻撃。端正が小さく舌打ちをした。
「そうそう。
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