Vivid編
第十話〜大人〜
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JS事件でのスカリエッティによる管理局の襲撃の際、ライは連れ去られそうになるギンガを救出し、代わりに彼がスカリエッティの元に行くことになったのだ。
「頭を上げてください。あの場に言わせたのはほとんど偶然でしたし」
「家内を亡くして、今の俺の家族は娘たちだけだ。だから、通すべき筋は通したい」
被せるようなゲンヤの言葉にライの心は少しだけ暖かくなる。しかし、何時までも頭を下げられるのは居心地が悪いため、少し強引に頭を上げさせることになったが。
「すまん、少しみっともないところを見せた」
「いえ」
苦笑で返しながら、ライは先ほどの話の続きを視線で促した。
「詰問……というよりも調書か。それを取らないのはお前さんの言葉から判断したからだよ」
「……」
「ギンガに言ったそうだな、高町の嬢ちゃんたちには言うなって」
無言でライが頷き返すと、納得したのかするすると先ほどよりも軽快にゲンヤの口が動き始める。
「ギンガと、高町の嬢ちゃんたち以外での知り合い。そして、ギンガの奴が怪我したお前さんを連れて頼るところといえば俺のところだ」
そこまで言うと、ライの方に向いていたゲンヤの視線がどこか呆れたものに変わる。
「お前さんがどこまであいつらから俺のことを聞いたか知らないが、そこまで知っていてそう言ったな?」
「……ええ」
「はぁ…………なら、予測は悪い方になるか……八神も含め、嬢ちゃんたちと俺らの違いは本局に近い立ち位置かどうかだ。そんで、あいつらよりも末端の方を頼るとなれば、管理局にとって都合が悪い話、若しくは敵に回すような話か?」
「……」
無言は明確な肯定であった。
そのライの反応に心底面倒くさそうな表情を浮かべたゲンヤはため息を吐く。そしてパイプ椅子に座っている体勢を少し崩すと、続きを話そうかと、目線だけでゲンヤはライに催促をする。
「これ以上は巻き込んでしまいますよ?」
「アホ抜かせ、そう言った厄介事を始末するのが大人の仕事だろが」
軽く受け流すようなその言葉にライは頼もしさを感じる。こういった“頼れる大人”が皇歴の世界には少なかったと、ライは今更ながらに思う。
だが、ライがそう思うのは無理もない。何故なら、日本人の大人はブリタニア侵攻の際に多くなくなっていることに加え、残った大人も現状維持で精一杯。そして、ブリタニア側に高潔な騎士というのはほんのひと握りであり、そしてライやルルーシュのような特殊な立場の人間にとって、それこそ頼れる年上の大人と言うのは珍しい存在なのだから。
「第一、ガキに全てを頼るような現状に辟易としているんだよ、こっちは。お前さんがどう判断したかは知らんが、末端なら巻き込めると考えたなら最後まで俺を利用し
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