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第三十九話その2 戦後処理は大変です。
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「今だからあなたに話すけれど、シャロンがああいう人になったのは・・・・私のせいなのよ」
前世――。
イルーナが属していた公国が、隣国に対しての支援を放棄した日のことを、今でもよく覚えている。その隣国は強大な帝国に攻められ、崩壊寸前だった。その隣国こそがシャロンの故郷だったのだ。彼女の家族も皆そこにいた。
当時イルーナたちが所属していた騎士団は公国の軍事力の一翼として、公国正規軍と同様の扱いを受けていた。そして正規軍上層部と政府首脳陣の話合いの中に騎士団幹部の一員としてイルーナが派遣されていたのである。
話合いは長期に及んだ。それだけ撤退派と支援継続派のせめぎあいは拮抗していたのである。だが、わずか一票の差で撤退派が優った。その重い重い決定が下された日の翌日、空はどす黒く曇り、重々しい雷鳴が午後の暑い空気を突き破って響いていた。その翌日には早くも隣国の国境沿いの都市が陥落したとの報告が入ってきた。そこは他ならぬシャロンの家族が住んでいる都市だったのだ。都市に住んでいた人々は根こそぎ全滅させられたという聞きたくもない報告も入ってきていた。
「何故!?」
騎士団本部のある暗い部屋にシャロンの叫びだけが響いていた。それに和するように雷鳴が悲鳴を上げて空を引き裂いていった。
「何故?!何故!?どうして・・・!!あなたに期待していたのよ・・・!!キャスティング・ボートを握っておきながら、なぜそれを支援継続に行使してくれなかったの!?」
「・・・・・・・」
親友に胸元のスカーフをつかまれながら、イルーナ・フォン・ヴァンクラフトは親友を見返していた。ここでうなだれてはいけない。自分の判断が誤っていたことを認めることになる。内心張り裂けそうな思いを鋼鉄の自制心で押し殺し続けながらイルーナはシャロンを見返していた。
「私はあなたにすべてを託したわ!!あなたが最上の判断を下してくれると期待して!!こんなことなら・・・・派遣団にあなたを選ばなければよかった!!そうしたら・・・・・」
語尾は震え、かすれていた。それを聞きながらイルーナは表面上は鋼鉄の声で、
「私は・・・・あなたの親友よ。でも、私には責務があるわ。あらゆる事象をすべて把握し、そのうえで決定を下さなくてはならない。私は・・・そうしたまで」
「・・・・・!!」
シャロンがスカーフを握りしめていた手を離し、その手は力なく下がった。
「・・・・・・人間は」
うなだれたシャロンの身体から突然声が発せられた。
「?」
「人間ほど信の置けない者はいない・・・・。誰も信用できない・・・・親友でさえも、いざとなれば自分の価値観を他人の価値観よりも優先してしまうのだわ・・・・やっとそれがわかった・・・・」
「シャロ
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