第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#6
戦慄の侵入者 〜Emerald Etrange〜
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事になる故、この子を貴様の「縁戚」という事にしたのだ。
それが歪みを最小限に食い止める方法だからな」
「つまり、オレの学校で消えたヤツと “立場を挿げ替えた” ってことか?
便利なモンだな。」
承太郎は半信半疑ながらも剣呑な瞳でアラストールを見る。
昨日の、破壊された街を「修復」したシャナの「能力」を見ていなければ
とても信じられない話だが、今は“そういうモノ”だと納得するしかない。
アラストールがそう言うのだからそうなのだろう。
その声の重みと感じられる荘厳な雰囲気からウソやデタラメ、
ましてやくだらない冗談を言うような男 (?) でない事は類推出来る。
「フン、オレぁもう行くぜ。朝メシはいらねぇ」
そう言い捨て緩やかな陽光で充たされた部屋から出ていこうとする承太郎を
淑女の優しい声が呼び止める。
「あ、ちょっとお待ちなさい。承太郎」
そう言って満面の笑顔で彼の母親
(最も二人並ぶと少し歳の離れた姉弟にしか見えないが)
空条 ホリィが最愛の息子にそっと歩み寄る。
「ハイ♪ いってらっしゃいのキスよ♪ チュッ♪」
「この女〜。いい加減に子離れしやがれ……!」
まるで恋人同士のように朝から(一方的に)睦み合う母と子。
その間でハァ、と嘆息するシャナの下で、
ムゥ、とアラストールが少し強い口調で呻いた。
【2】
穏やかな春の陽光が木々を照らし、小鳥達の囀りが閑静な住宅街に木霊する。
その清涼な朝の空気の中を、承太郎とシャナは肩を並べて (?) 歩いていた。
出る家も行き先も同じなので必然的に一緒に登校する事になる。
件の如くお互いに無言。
歩幅の大きい承太郎に、小柄なシャナが汗をかくこともなく
普通についてきているのが奇妙と言えば奇妙であったが、
それを除けば一応は同じ学校に通う同級生同士が一緒に登校しているように、
相当無理すれば見えない事もない。
まぁ「自在法」の影響下ではあまり関係のない話だが。
早朝の澄んだ空気の中に、承太郎の香水とシャナの洗い髪の
残り香が混ざって靡く。
襟元から垂れ下がった黄金の鎖と胸元のペンダントを繋ぐ
銀鎖の擦れる音も、絡まり合って和音を奏でた。
一羽の燕が、身を翻して二人の前を横切る。
その瞬間、だった。
「あぁッッ!! 承太郎だわ!!」
友人と共に登校中の、女生徒の一人が突如黄色い歓声をあげる。
「えッ!? 承太郎ッ!?」
その声を起爆剤として、登校途中の女生徒達が数十人まとめて一斉に振り向く。
「ほんとだ!承太郎!」
「おはよう承太郎!」
「おはよう承太郎!」
「おはよう承太郎!」
「おはよう承太郎!」
「おはよう承太郎!」
若々しい少女達の歓声は
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