ー〈閃光〉対〈緋色〉ー
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ーー本気でゆこうか」
「っ!」
シィは不敵な笑みを浮かべた。 今まで、シィは本気ではなかったという衝撃にアスナが息を呑むのとほぼ同時、シィがソードスキルを起動させるとともに地面を蹴った。
突撃技〈ソニック・チャージ〉。 およそ十メートルを一瞬で駆けると、唖然とした表情を見せるアスナへと神速の突きが放たれる。 咄嗟にサイドステップで避けるもシィの槍は亜麻色の髪を掠め取っていく。
アスナに劣ることのないチャージに会場が騒めく。 どんなもんよ、とシィは勝気な表情を浮かべ、アスナを挑発してみせた。 アスナがひくっと片頬が引き攣く。 当然、シィにそれが見えてないはずもなく、ニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
「どう? ねぇ今どんな気持ち?ねぇ、ねぇねぇ!」
「っ! ……煩い!」
細剣の上位スキル〈スタースプラッシュ〉を発動させ、挑発するシィに猛然と襲いかかる。 突きと斬り払いを混ぜた雷光のような八連撃がシィに放たれるが、それを先読みしていないはずがなく、同じく上位技〈ダンシング・スピア〉で迎え討つ。 互いの攻撃が相殺され、次の一手にアスナは超近距離から、最高速の〈リニアー〉が放たれるが、ふわりとポニーテールを揺らし、躱してみせた。 次いでとばかりに槍の端を両手で持ったシィがステップ回避の回転力を乗せた横薙ぎの一撃をアスナへと叩き込む。
「ーーせいやぁ!」
「くっ……ぅ!」
横薙ぎに振るわれた赤い槍が胴を捉える寸前、アスナは細剣を間に差し込むことでギリギリ武器防御に成功させるとともに、後ろに飛び退ることでダメージを減らしつつ、距離を取った。
仕切り直し、今一度、それぞれの武器を構え直すと、地面を蹴ったのはほぼ同時だった。 AGI優先のビルドの二人が同時に駆けたことで二人の間は一瞬にして詰められる。 真正面からぶつかり合う形となる中、先にソードスキルを発動させたシィが緑色の光を放つ穂先を放ったーー
ーー地面に向かって。
アスナの眼前に砂塵が立ち上り、視界を覆うがそれに構うことなく単発突き〈リニアー〉を真正面へと放った。 ソニックブームを発生させながら放たれたそれは砂煙に風穴を空けーー、そして彼女はまったく手応えがないことに驚愕した。
「んなっ?!」
まさか、と思い咄嗟に視線を跳ねあげれば、もう一度驚愕することとなる。 上空、青く澄んだ空を背後に笑みをたたえたシィがそこに居た。 ソードスキルが地面へと衝突した際に発生した爆風が彼女の華奢なアバターを上空へと押し上げたのだ。 簡単に思えるかもしれないが、実際には回避に転じるためのソードスキルを放つタイミングや、体運び、そしてなによりソードスキルの威力が足りなければ成功なし得ない珍技だ。
ニィと口角を上げると、
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