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ソードアート・オンライン 神速の人狼
ー〈閃光〉対〈緋色〉ー
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、大きくバックステップを踏みシィから距離を置いた。

 アスナの先制攻撃で早々と決まるだろうという予想は大きく外れ、シィが微量ながらも先制ダメージを与えることとなった。 刹那の攻防の末、一筋縄ではいかないことを悟ったアスナは距離を置き、シィの挙動を伺っている中、ヒースクリフが中央に視線を向けたまま口を開いた。

「ユーリくん、君はどちらが勝つと思っているのかね」
「……シィでしょ」
「……ふむ、根拠は?」
「いうわけないでしょ」

 ヒースクリフに一瞥もくれることなく即答で答える。 驚愕と喜色が入り混じった声で頷くとその理由を求めるが、ユーリはそれを素っ気なく突っぱねた。 だが、それで諦めははずなく、ヒースクリフはなおも言い募る。

「そうか。 だがアスナくんとて攻略組に名を連ねるトッププレイヤーであり、我ら血盟騎士団の副団長だ。 私は彼女が負けるとは思えない」
「……何が言いたい」

 言外にシィが負けると言いたげな内容に気に触ったのか、ユーリはジロリとヒースクリフを睨みつける。 ふっと薄く微笑むとヒースクリフは続ける。

「……君はシィくんが勝つといい、私はアスナくんが勝つと思っている。だが、勝者は常に一人だ。 故に 両者の思想は背反と言えよう」
「……回りくどいぞ」
「見かけによらずにせっかちだな、君は」
「……うるせ」

 ヒースクリフにそう言われるとむすっとした表情を浮かべたユーリは視線を中央のバトルフィールドへと戻してしまう。

「この闘い、どちらが勝つか賭けをしないか。 勝った方は負けた方に一つ命令を下せる。 勿論、生死に関わるのは無しだがね。 そして当然、私が勝てば君にはシィくんとともに血盟騎士団に入ってもらう」
「……まるでアスナが勝つと確信しているかのような口ぶりだなヒースクリフ」
「なに、根拠があるわけではない。 強いて言うならば、部下の実力を信頼している。 どうかね、なんなら今後一切の勧誘を行わないという条件もつけるがーー」
「あっそう。 ……いいぜ、その賭け乗ってやるよ」

 ユーリはニヤリと笑みを浮かべ、ヒースクリフの申し入れを受け入れた。
 一方、闘技場中央のフィールドでは読み合いは終わり、アスナとシィの死闘が再び繰り広げられていた。


 果敢に攻めているのはアスナの方だった。 素早いステップでシィの反撃を避けつつ、正確無比な鋭い突きを打ち込んでいく。 対するシィは、長いリーチを活かし間合いを広く取り、容易くアスナが細剣の間合いに持ち込めなようにプレッシャーを掛けるとともに、最小限の動作で鋭い突きをいなし、カウンターを仕掛ける。 アスナはそれをギリギリで躱していく。
 攻めのアスナ、守りのシィという構図が出来上がっている中、地面を強く蹴ったアスナが砂塵を
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