ー〈閃光〉対〈緋色〉ー
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ヒースクリフから投げかけられた質問に対し、ユーリは非常に面倒そうな表情を見せつつ簡潔に答えた。
扱い辛い武器として知られる〈大鎌〉の唯一の担い手であるシィだが、〈大鎌〉が長柄の武器の上位派生スキルであることを考慮すればシィが槍を使おうがなんら不思議ではない。
今の大鎌を扱い始める前の愛槍〈栄光の薔薇〉を二度、三度と振り回し、調子を確かめると納得したのかうんと頷き、
「さて……始めよっか」
紅い薔薇の意匠が施された槍を肩に担いだシィがニヤリと不敵な笑みを浮かべた。 それにアスナはむっとした表情を見せると右手を振り、メニューウィンドウを開くとデュエル申請を送る。 当然、それは受諾され、両者のちょうど中間地点に二人の名前とともに〈初撃決着モード〉が記された半透明のウィンドウが出現し、六十秒のカウントダウンが始まった。
デュエルにおいて最もオーソドックスなルールである初撃決着モードは強攻撃が被弾するか、HPが半分を下回った場合に勝敗が決する。 HPが全損する事態はほぼ無いに等しいが、それでも命を賭しているということには変わりなく、二人の表情はいつにも増して真剣だ。
アスナは剣帯に吊るした鞘から音高く彼女の武器である〈ランベントライト〉を抜き放つと、膝を深く曲げ、左を半身反らし、右手に構えた〈ランベントライト〉の剣先をシィへと向ける。 レイピアを構えるアスナの横顔からレイピアのような鋭利なものを感じられるのに対し、右手で槍の中程を持ち、左手を鈍く光る穂先に添えて構えるシィの表情は真剣であるもののこの状況を楽しんでいる風にも見てとれた。
「アル☆の流儀、その身に受けるがいい!」
「ケルト……?!」
「斬れー」「殺せー」と物騒なことが口々に喚かれるなか、デュエル開始のカウントダウンが刻一刻と迫り、両者の放つプレッシャーが臨界に達した瞬間、上空に【DUEL】の文字が瞬いたのと同時に刀身にライトエフェクトを纏わせたアスナが駆ける。
二人の間の距離は少し広めの二十メートル。 だが、持ち前のAGIの高さを活かし、それを一息で詰めると、体の捻りを利用して打ち出された二本の刺突が完全に待ちの態勢のシィへと放たれた。
「ーーハァっ!!」
二連刺突技〈ツイン・スラスト〉。 淡い緑色の光を帯びた、まさしく〈閃光〉の如き二連撃はほぼ同時にシィへと放たれる。だがしかし、シィは突き出した穂先を細い針のような刀身に添えるようにし、極々小さく動かすと彼女を避けるようにして刺突が逸れた。 攻撃が完全に無効化され、極僅かながらも課せられた硬直時間を狙い、カウンターの刺突がアスナの喉元へと放たれる。 アスナはなんとか首を傾け、鋭利な刃が薄皮一枚を切り裂くに留めると、レイピアを大きく斬り払い
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