第六話 婚姻政策その一
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第六話 婚姻政策
マイラとロートリンゲン家の太子との婚礼の儀を終えたのを見届けてだ、大公は側近達を集めこうしたことを言った。
「まずはだ」
「はい、マイラ様ですね」
「あの方のご婚礼が終わりました」
「それも無事に」
「では後は、ですね」
「あの方は」
「いや、帝国に行く筈がだ」
ここでだ、大公は眉を顰めさせ自身の側近達に言った。
「太子がだ」
「この国に、ですか」
「残られると」
「そう言われているのですか」
「あちらから」
「そう仰っている」
こう話すのだった。
「これがな」
「まさかと思いますが」
「あの方、そしてロートリンゲン家は」
「我が国を」
「そうかも知れない、以前にもあった」
深刻な顔のままでだ、大公は側近達に話した。
「そうだったな」
「はい、嫁ぎ先に残り」
「そのうえでその国の後継者となりました」
「娘婿、そしてお子の父親として」
「そうなりました」
「婚姻で大きくなった家だ」
このことをだ、大公はここでも言った。
「だからな」
「それで、ですね」
「あの方もですね」
「我が国を乗っ取る為に」
「そうしてくるのでは」
「大公はそうお考えですか」
「そうかも知れない、あの家は確かに戦は好まない」
武力に訴える時は最後の最後だ、それはこの数百年変わらないことである。
「しかしな」
「それでもですね」
「あの家は清廉かといいますと」
「そうではない」
「むしろですね」
「謀の多い家だ」
それがロートリンゲン家だというのだ。
「婚姻はその一つなのだ」
「相手の家と結び味方に引き寄せ」
「あわよくば、ですね」
「その家を取り込み」
「そして己の家としていく」
「そのあわよくば、が常だった」
ロートリンゲン家、この家はというのだ。
「だからな」
「余計にですね」
「警戒すべきですね」
「太子がこの国に残られる」
「このことは」
「そうだ、気をつけていこう」
眉を顰めさせてだ、大公は言った。
「ここはな」
「わかりました」
「それではです」
「太子には気をつけましょう」
「ロートリンゲン家から多くの貴族が来ていますし」
「あの家の家臣の方々が」
「そうだな、しかもだ」
大公は眉を顰めさせたままさらに話した。
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